
羽田空港の旅客ターミナルを建設、管理・運営する日本空港ビルデングの子会社の利益供与問題を受けて、会長兼CEOの鷹城勲氏と社長兼COOの横田信秋氏が引責辞任した。
空ビルの特別調査委員会の調査では、同社の子会社が自民党元幹事長・古賀誠氏の長男が経営するコンサルティング会社に利益供与する目的で取引を行っていたと確認された。
古賀氏の長男の会社が空港ビルの子会社とビル内のマッサージチェア(MC)事業の委託契約を結び、長男の会社が16年までの10年間に約4.3億円を受け取った。だがその会社は別の健康機器販売会社に業務を丸投げしており、業務実体がなかったと調査報告書では記載される。なお、長男の会社は福岡空港と伊丹空港のMC事業でもビル運営会社と取引していたことが報道されている。
空港ビルは1953年に設立し、国から空港法の定める「空港機能施設事業者」に指定された。空港業務というパブリック性の高い業務を、経営効率性を旨とする民間企業のノウハウで賄うという趣旨で設立された同社の初代社長には秋山龍氏(運輸省、現国土交通省元事務次官)が就いた。以来、「公共性と企業性の調和」を旗印にビル管理を行ってきた。
辞任した鷹城氏は空港ビルの生え抜きトップとして05年の社長就任から会長兼CEOを辞任するまでの約20年間、同社を率いた。ビルの増築や改装、新店舗誘致をはじめ、中国の空港会社との提携にも尽力。
07年に外資系ファンドによって株式を買い占められたときも「日本の空が大変なことになる」として跳ねのけた。その後は世界の空港をサービスの質や快適さ、清潔さなどで格付けする「5スターエアポート」を14年から毎年受賞させるなど羽田の存在感を高めた。しかし、今回の”利益供与問題”で責任をとった形となった。
新社長に就いた副社長の田中一仁氏も生え抜きで財務、経営企画を長く歩んだ。「クレバーでクリーンな人物」との社内評。調査報告書は「特定の経営トップが強過ぎるリーダーシップを発揮するという体制が長年にわたり継続していたことが、経営トップによるガバナンスの機能不全を許すことに繋がった」と指摘する。
田中新体制で創業以来の原点に立ち返っての再生になる。