ガートナージャパンは5月14日、市場で混乱が生じているAIエージェントとエージェント型AIに関する見解を発表した。
2024年には「AIエージェント」、2025年には「エージェント型AI (またはエージェンティックAI)」という言葉が注目されるようになり、両者の違いについて混乱が見られるという。
ガートナーの定義
同社は、AIエージェントとエージェント型AIを以下のように定義している。
AIエージェント
デジタルおよびリアルの環境で、状況を知覚し、意思決定を下し、アクションを起こし、目的を達成するためにAI技法を適用する自律的または半自律的なソフトウェア。
エージェント型AI
組織のために行動し、自律的に意思決定を下してアクションを起こすために、組織に代わって行動する権利を付与された、目標主導型のソフトウェア・エンティティ。記憶、計画、センシング、ツール利用、ガードレールなどのコンポーネントと共にAI手法を使用して、タスクを完了し、目標を達成する。
さらに、同社はチャットボット、RPA (ロボティック・プロセス・オートメーション)、AIエージェント、エージェント型AIの違いを次のように示している。
ディスティングイッシュト バイス プレジデント アナリストの亦賀忠明氏は次のように述べている。
「AIエージェントとエージェント型AIの境界線は曖昧であり、市場でも、AIエージェントとエージェント型AIの2つの用語があり混乱しています。これらの使い方はこれから定着していくとみていますが、Gartnerでは、AIエージェントはエージェント型AIの1つと捉えています。すなわち、エージェント型AIは、AIエージェントよりも包括的かつ進化的な概念であり、より高度で自律性の高いAI像を示唆しています」
企業はAIエージェント、エージェント型AIにどう向き合うべきか
AIエージェントやエージェント型AIに関連するテクノロジーは日々進化しているが、現在、急速にホットになりつつあるテーマとしては、AIエージェントがツールなどを多用する際に、一貫した思考や記憶を与えるプロトコルであるMCP (モデル・コンテキスト・プロトコル)、AIエージェント同士が連携するための会話のルールを定めるAgent-to-Agent (A2A) のようなエージェント間プロトコルがあるという。
こうした状況の下、企業が行うべきことについて、亦賀氏は次のようにコメントしている。
「企業は、これらのテクノロジーに対する理解を深め、手組み細工的なAIエージェントと進化系となるエージェント型AIの違いを見極める目利き力を高めていく必要があります。AIエージェントは新たなバズワード的な側面も持っています。ベンダーはこれを新たな商機としてみなし、こぞってAIエージェント構築を企業に提案しつつあります。ユーザー企業は少なくとも具体的なテクノロジやフレームワークが無い概念だけのベイパーウェア (存在するかのように宣伝されるが、実際には存在しない製品) に振り回されないようにすることが重要です」