NTTデータグループは5月8日、2025年3月期の連結決算を発表し説明会を開いた。売上高は対前年同期比2713億円(6.2%)増の4兆6387億円、営業利益は同143億円(4.6%)増の3239億円、当期利益は同86億円(6.4%)増の1425億円、受注高は同1707億円(3.6%)増の4兆9616円と、増収増益となった。売上高および当期利益は業績予想を達成した。
日本セグメントは好調も、海外セグメントは減収減益
受注高について、日本セグメントは対前年比1007億円の増加。海外セグメントは受注が減少したものの為替の影響で752億円増加した。全社では1707億円の増加。
売上高は日本セグメントが1763億円の増加。海外セグメントは減少したものの為替の影響により963億円の増加。全社では2713億円の増収となった。
営業利益は日本国内3分野の合算で340億円増加したものの、海外セグメントは為替の影響を含めても155億円の減少。全社では143億円の増益となった。
日本セグメントの内訳を見ると、金融分野における大手金融機関向けや決済・保険向け案件、法人分野における製造・サービス業向け案件の増加が受注高の増加に貢献した。売上高は公共・社会基盤分野が増収をけん引したという。
このように日本セグメントは好調だった一方で、海外セグメントはリージョナルユニット(北米、EMEAL:欧州・中東・アフリカ・中南米地域、APAC:アジア太平洋地域)が為替影響を除き減収減益となった。引き続き、収益性の改善に取り組む必要があるという。
データセンター事業は、投資実績が対前年比225億円増の4130億円。一部支出の繰延があり業績予想に対して減少した。需要は引き続き旺盛で、受注残高は2兆2391億円。売上高は対前年比1008億円となる3712億円と、約30%の増収を達成した。
2026年3月期はさらなる成長を狙う
NTTデータグループ代表取締役社長の佐々木裕氏は2026年3月期(2025年度)の取組方針について、「Quality Growth(質の伴った成長)を追求するため、リージョナルビジネスの強化と成長投資の推進に重点的に取り組む」と紹介した。
リージョナルビジネスの強化について、日本セグメントでは引き続き堅調な需要に対応するため、コンサルティングやアーキテクトなどの人材を拡充しエンジニアリングの強化を図る。海外セグメントでは事業統合によるシナジー創出やリージョナルユニットの横断組織設置により、事業運営の最適化と競争力向上を図る。
成長投資については、グローバルでの競争優位性確保のため、中長期的な成長に資する投資を推進。特に生成AIへの投資に注力する。また、投資が先行し収益化までの時間を要するデータセンター事業においてREITの活用により資産の売却を安定的かつ継続的に実行し投資回収サイクルを早期化。これにより投資収益性と財務健全性を維持しながら投資余力を確保する。
同社は4月に、OpenAIとのグローバルでの戦略的提携開始を発表。販売代理店として、OpenAI関連ビジネスで2027年度末までに累計1000億円規模の売り上げを目指す。
2026年3月期の業績予想は、売上高が対前年比2980億円(6.4%)増の4兆9367億円、営業利益が同1982億円(61.2%)増の5220億円、受注高が576億円(40.4%)増の2000億円としている。これは2026年3月期を最終年度とする中期経営計画(連結売上高4.7兆円、連結営業利益率10%、海外EBITA率10%)を上回る数値となる。