リコーは5月8日、請求書や納品書など受領した取引帳票の処理業務において、生成AIを活用して企業や担当者ごとの処理ルールに合わせてOCR(Optical Character Recognition / Reader:光学文字認識)結果を最適化する技術「適応型AI-OCR」を開発したことを発表した。これにより、帳票項目内の必要箇所のみを抽出する、表記を自動修正するなど、企業や担当者の処理ルールに合わせたOCR結果出力が可能となる。
また、リコージャパンが提供する「トレード帳票DXシリーズ」のクラウド型AI帳票認識OCRソリューション「RICOH 受領請求書サービス」と「RICOH 受領納品書サービス」にこの技術を実装しバージョンアップしている。請求書や納品書の処理業務を効率化し、バックオフィス業務の負担軽減と業務全体の生産性向上を支援する。同技術はリコージャパンの他サービスにも順次展開される予定。
適応型AI-OCR開発の背景
受領した請求書や納品書などの取引帳票は、基幹業務システムと連携するために情報の転記が必要となる。転記作業はOCR技術により効率的にテキスト化が可能となるが、実際の帳票転記業務では企業や担当者ごとの運用により記載内容を修正して後段の基幹業務システムに入力する例もある。
例えば、帳票に記載される顧客番号や請求書番号の一部分のみを抽出して転記する場合や、和暦の日付を西暦に変換する場合など、個別対応が求められる場面があり、これが現場の手間と負担の要因となっていた。
適応型AI-OCRの技術概要
リコーは、ユーザーによる修正履歴などの情報を生成AIに取り込むことで企業や担当者ごとの処理ルールに合わせた出力を事前設定なしに実現する技術「適応型AI-OCR」を開発した。従来のAI‐OCR技術は文書内の情報を正確に抽出してテキスト化することを目的としていたが、同技術ではユーザーの処理ルールを反映したテキスト出力が可能。さらに、生成AIがOCRの誤認識を修正することで、帳票認識の精度向上も実現しているという。