BetaNewsは4月22日(米国時間)、「What is an AI agent and why should you build one?」において、AIエージェント導入の基本原則および失敗する理由について伝えた。基本原則に従うことで企業は落とし穴を回避し、既存システムと調和する安全なAIエージェント開発が可能になると説明している。

  • What is an AI agent and why should you build one?

    What is an AI agent and why should you build one?

AIエージェント導入の5つの基本原則

AIエージェントは日常業務や交渉などを自動化する新しい自律型AIシステムだ。ChatGPTのようなチャットボットと異なり、指示されたタスクを達成する自律行動が可能で、人間による継続した監視を必要とせず、会議の設定や交渉業務、コードの実装も可能とされる。

強力な業務支援ツールとなるが、導入には適切な計画およびガードレール(禁止事項)の設定が必要で、これらが不十分なまま運用すると深刻なプライバシー侵害やパフォーマンスの低下、本来の目的を達成できないなど、かえって業務に支障をきたす可能性がある。

このような問題を回避しつつ、安全かつ透明性のあるAIエージェント導入を可能にする方法として、BetaNewsは次の5つの基本原則を提案している。

要件とユースケースを最初に定義する

AIエージェントの導入には戦略目標とエージェント機能との整合性を確保する必要がある。サポートセンターの対応時間の短縮、調達における繰り返し業務の効率化など、明確な目標を立てることが重要。これら要件を定義すれば、スコープクリープ(範囲の無計画な拡大)を防ぎ、関係者間の意思の統一、現実的な投資収益率(ROI: Return on Investment)の期待値の作成が可能になる。

コードを書く前に徹底的なリスク評価を実施する

AIエージェントによる自律的な意思決定にはリスクが伴う。不完全なデータに基づく意思決定や、予期せぬ決定は望まない結果につながる可能性がある。

あらゆるリスクを回避するため、問題になる可能性のある事項を予測し、エッジケースにおいてどのように動作するか、どのようなデータに依存するか、ユーザーエクスペリエンスやコンプライアンスに影響するかなどを把握する必要がある。

BetaNewsはリスク評価において少なくとも次の範囲をカバーする必要があると指摘している。

  • データの整合性と完全性
  • 倫理的な使用とバイアスの緩和
  • 潜在的なコンプライアンス問題
  • エッジケースを含むテスト計画
  • サードパーティツールやAPIへの依存

最初からシームレスな統合を実現する

AIエージェント導入の目的は、AIを既存の業務に組み込むことにある。業務ごとにツールとして組み込むのではなく、全体に組み込むことが重要。つまり、ITチームやデータエンジニアリングチームと連携し、システム間のリアルタイムデータ共有を可能にする。シームレスな統合が実現すると、生産性とパフォーマンスの向上を期待できる。

透明性確保にアクションログを実装する

AIエージェント導入にあたっては、詳細なアクションログを取得する必要がある。アクションログは迅速な問題の特定およびコンプライアンスの確保に必須の機能となる。また、AIエージェントの微調整にも必要で、ITチームは傾向を特定し、行動を最適化できるようになる。

初日からデータのプライバシーとセキュリティを優先する

AIエージェントの性能は与えられるデータの質に左右される。そのため機密性の高いデータも提供することになるが、徹底したセキュリティ対策を実施しなければ大きなリスクになる。

そこで必要なものを必要な期間だけ収集するようにトレーニングおよび導入する。また、ユーザーに対してどのデータを、どのように処理し、どの程度の期間保持するか明らかにし、透明性を確保する。

さらに、適切なレビューを含むデータガバナンスを確立し、トレーニングデータに機密情報や規制情報が含まれないように注意する。

AIエージェント導入に失敗する理由

BetaNewsは、AIエージェント導入に失敗するケースがあるが、その主な理由として以下を挙げている。

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