Google Chromeチームは4月22日(米国時間)、「Next steps for Privacy Sandbox and tracking protections in Chrome」において、サードパーティCookie用の新しいプロンプトを展開しないと発表した。
同社は過去数年間にわたりサードパーティーCookieの取り扱いの方針を二転三転してきたが、最終的にサードパーティCookieの維持を決定した可能性がある。
新しいエクスペリエンスを導入しない
Google Chromeチームは昨年7月、「A new path for Privacy Sandbox on the web」において、サードパーティCookieの段階的廃止を中止して新しいエクスペリエンスを導入すると発表。このエクスペリエンスは「情報に基づく選択(informed choice)をWebブラウジング中いつでもできるようにする」ものとされていたが、今回の発表でこの新機能を提供しないことが明らかになった。
Googleのプライバシーサンドボックス事業部長を務めるAnthony Chavez氏は次のように述べている。
「ChromeでサードパーティCookieの選択肢をユーザーに提供する現在のアプローチを維持し、サードパーティCookieに関する新しい独立したプロンプトを導入しないことを決定しました。ユーザーは引き続き、Chromeのプライバシとセキュリティ設定で最適なオプションを選択できます」
つまり、サードパーティCookieの取り扱いについて長年議論してきたが、振り出しに戻す決定を下したとみられる。ユーザーは引き続き、Chrome設定の「プライバシーとセキュリティ」からサードパーティCookieに関する動作を選択することができる。
プライバシーサンドボックスには新しい役割を与える
プライバシーサンドボックスはサードパーティCookieに代わり、プライバシー保護とターゲティング広告を両立する新しい技術として開発されてきた。発表当初はサードパーティCookieを段階的に廃止し、プライバシーサンドボックスに置き換える計画だったが、今回の発表に至ったことで開発を継続する必要性は失われている。
しかしながらAnthony Chavez氏は次のように述べ、新しい役割を与える方針を明らかにした。
「今回のアップデートを踏まえ、プライバシーサンドボックスAPIにはエコシステムを支えるこれまでとは異なる役割を果たす可能性があると理解しています。今後数カ月以内に業界の皆様からのフィードバックを収集し、将来の投資分野を含むこれらテクノロジーに関する最新のロードマップを共有していく予定です」
信頼されるWebブラウザを目指す
プライバシー保護とターゲティング広告の両立については、さまざまな業界団体および規制機関と長年交渉し、最適解の模索が続けられてきたが今回振り出しに戻る結果となった。