順天堂大学とアビームコンサルティングは4月22日、AIを活用した医師の働き方改革の実現に向けた共同研究において、医師の経験・ナレッジの活用を高度化する生成AIサービスの開発を開始したと発表した。
医師・医局ごとに蓄積されたノウハウをデータ化し、AIを搭載したナレッジデータベースとして医療現場での活用を促進することで、診療業務の効率化を図るとともに、情報の標準化による地域間の医療サービスの格差縮小を目指す。
取り組み概要
今回の取り組みにおいて、医療業界で喫緊課題となっている医師の働き方改革および医療の均てん化に向けた業務改革に対するAI活用の有用性を検証するため、アビームコンサルティングが開発した簡易的に生成AIの業務利用が体験できる「生成AIスターターアプリ」を活用し、各種論文やガイドラインなどのデータを取り込んだプロトタイプアプリを構築した。
同アプリを、順天堂医院における脳神経内科、循環器内科、総合診療科の臨床現場で実際に運用し、その利用状況や医師のフィードバック内容を分析。その結果、優先して解決すべき事項として「医師のナレッジ・経験の組織全体への共有の不十分さ」と「専門外領域に関する問い合わせ対応に係るリソース負担」を特定した。
そこで、生成AI活用による診療業務の改革が期待できるユースケースとして、「医師の経験・ナレッジ活用の高度化・効率化」をテーマに選定し、サービス開発に向けた課題の研究および要件定義、PoC開発を開始した。
今後の展開
同サービスは、高度な社会課題・経営課題をAIによって解決するアビームコンサルティングのサービス「AIソーシング」の一環として位置づけ、2025年7月までの開発完了および順天堂医院への試験導入を目標に進める。
その後は、順天堂大学医学部のその他附属病院や他の医療機関にも導入可能なレベルへと開発・検証を重ね、将来的な製品化に向けたサービス開発を予定しているという。
両者は今後、順天堂大学の医療の知見と、アビームコンサルティングのAIの知見を融合し、医師・医局ごとに蓄積されたノウハウをデータ化し、診療現場でのナレッジ活用の高度化に貢献するサービスとして開発を進める。