
「『仕組み貸し出し』への警鐘が鳴らされているということだが、商品に複雑な仕組みが組み込まれていることや、リスク管理への懸念があると理解している」─こう話すのは、全国銀行協会会長(2025年3月まで、三井住友銀行頭取)の福留朗裕氏。
地方銀行が貸出残高を増やしている「仕組み貸し出し」に対する警戒感が高まっている。仕組み貸し出しとは、証券会社などが設立した、日本国債などの債券を保有するSPC(特別目的会社)に対して銀行が融資するという形を取る投資商品。「国債リパッケージローン」、「JGBリパ」などとも呼ばれる。
なぜ、地銀が仕組み貸し出しに傾斜しているかといえば、貸し出し実績としてカウントされること、国債などの金融商品を直接購入する際に必要な時価評価を求められないことが挙げられる。さらにデリバティブ(金融派生商品)が組み込まれていることから、普通に国債に投資するよりも高い利回りが期待できる。
「仕組み貸し出しで国債投資の経路が増えることは、金融市場にとってメリット」(福留氏)という面もあるが、組み込まれているデリバティブの契約次第で、金利上昇時に「逆ザヤ」になりかねないというリスクが指摘されている。しかも、「仕組みが複雑であればあるほど、深刻な逆ザヤに陥りかねない。また現物の債券より流動性が低く、売却に時間がかかり、損失が拡大する可能性もある」(同)。
金融庁は地銀に対して、仕組み貸し出しのリスク管理の強化を促している。リスクを理解して行っている投資家にとっては問題ない商品であり、「過度にリスクテイクを避けることは、市場の選択肢を狭めることにもなる」(福留氏)という意見もある。果たして地銀は、仕組み貸し出しのリスクを本当に理解した上で行っているのか、いま一度自らの身を顧みる必要に迫られている。