大分県教育庁は4月14日、「遠隔教育配信センター」を活用した同時双方向型授業(配信センター方式)を開始することに合わせて、「大分県教育庁遠隔教育配信センター開所記念式典」を開催した。
式典には、大分県知事の佐藤樹一郎氏、遠隔教育配信センター 所長の佐藤哲也氏らが登壇し、遠隔教育の「大分モデル」を紹介した。
遠隔授業と遠隔による学習支援を実施する「大分モデル」
大分県は2023年に出生率の過去最低記録を更新したが、人口減に歯止めがきかない状態になりつつあるという。
今後、15年間で高校の卒業者数は3分の1以上も減少すると見込まれており、大分県全体の課題として新たな取り組みが必要とされてきたという。
それらを背景として取り組みが開始されたのが「大分モデル」である。
「大分モデル」では、県内どの地域に住んでいても、多様で質の高い高校教育を受けられる環境を整備するため、「遠隔授業」と「遠隔による学習支援」を実施するもの。
これに基づき、同県は遠隔教育配信センターを新設、「遠隔授業と遠隔による学習支援(SOP=生徒進学支援オプション)」の両輪による「大分モデル」を確立している。
遠隔教育配信センターを活用した遠隔授業(同時双方向授業)は、2校合同で授業を配信する形式で実施され、2025年4月から臼杵高校+宇佐高校、佐伯鶴城高校+日田高校で先行実施されている。
この先行事例を皮切りに地域にある普通科設置高校を中心に段階的に遠隔教育を導入し、2027年までに普通科設置校17校に導入予定とのこと。
一方の遠隔授業と遠隔による学習支援(SOP)は、大分県内の普通科等設置校の28校の生徒を対象に「長期休業中の特別授業(難関大志望者向け特別授業をリアルタイム配信&アーカイブ配信)」「オンデマンドによる動画教材配信(大学入試過去問題演習など)」を実施している。
生徒は学校に加えて、自宅でも上記のコンテンツを受講することが可能。
さらに遠隔授業受信校の遠隔授業受講生徒に限り、「1対1生徒個別指導(生徒1人ひとりの志望や定着度に応じた個別添削指導)」「オンライン課題配信(授業内容の定着を図る補充問題や発展的な問題の演習)」「動機付け・意識改革(大学教授や同じ環境から進路目標を達成した先輩による講和)」「オンライン面談(センター専任教員との個別面談)」を実施している。
生徒は遠隔教育一体型機器を活用することで、同じ教室内に教員がいるような感覚で授業を受けられる一方、授業を行う教員の前にもモニターが設置されているため、教員は生徒の表情や反応を見ながらコミュニケーションを取ることが可能となっている。
遠隔教育配信センターの概要
今回、設立された大分県教育庁の遠隔教育配信センター、通称「OitaTEC」は、旧 碩信高校の1階部分に建てられている。
同センターには、知識の伝達と創造を象徴する「ニューロン」のイメージと施設名であり「Oita Tele Education Center」の頭文字「O」と「T」をモチーフに構成されたロゴを設置。
ロゴ中央の白い円は「知の核心」、そこから閃光として広がる4色は、それぞれ多様な学び「赤=情熱」「青=論理」「緑=成長」「黄=ひらめき」を意味しており、知が広がり、未来を形づくっていく姿を表現しているという。
同センターは、8部屋の専用配信室(防音・吸音スタジオ設備)・執務室・給湯室を擁しており、専任教員が配置されている。
遠隔教育配信センターの執務室には、オープンデスク・集中デスク・カウンターデスク・大型モニター+AirPlay・リフレッシュスペースの5つが設けられていて、各テーブルには、27インチモニターが設置されている。
大分県は、学校の先生による進路指導に加え、センター専任教員による学習支援の生徒進学支援オプション(SOP)も強化していきたい考え。