リコーは4月11日、企業の経営者本人をモデリングして作成するデジタルクローンの提供を開始したことを発表した。将来的には3Dモデルと社長の考え方などを学習させたAIを連携させ、社長の代わりとして社員や顧客と対話できるデジタルクローン型AIエージェントを開発する予定だという。
同社は提供開始に合わせて、久永の代表取締役社長 久永修平氏をモデルとしたデジタルクローンの3Dモデルを作成。3月21日に行われた創立105周年記念イベントで、デジタルクローンが久永社長の声で今後の抱負を来場者に伝えた。
活用の期待が高まるデジタルクローン
はたらく人の分身として自律的に仕事を進めるデジタルクローンは、企業の人手不足の解消や人材活用、コミュニケーション強化やエンゲージメント向上が期待できるため、開発と活用が期待されている。
企業経営者のデジタルクローンは、経営者の考え方や経営理念を学習し、容姿も似せたAI搭載の3Dモデル。経営者の分身として、経営者に代わり社員や顧客と身近で対話しコミュニケーションや社員教育などを強化する役割が見込める。
リコーが久永社長の経営者デジタルクローンを作成
1919年創業の久永は、「測る・量る・計る・図る」を主軸にビジネスを創造し、鹿児島県を中心に宮崎、熊本、関東と広域にわたって「地域のパートナー企業」として独自のDXソリューションを提供している。
同社は企業の規模が拡大する中で、経営理念の浸透や経営層と社員のコミュニケーション強化が課題となっていたという。また、事業形態も、モノからコト、コトからコンサルティングへ大きく変化する中、同社の強みである「建設DX事業」「オフィスDX事業」「ビジネス空間事業」を融合し提供するビジネスの認知度向上を図っている。
今回作成したデジタルクローンは、社員とのコミュニケーションツールとして活用していく予定。105周年の感謝の集いにおいては、幅広い事業での「お役立ち」の認知度の向上と、これからの未来のビジネスに欠かせないAIの活用について、さらなるチャレンジとして来場者に紹介された。
リコーは久永社長の全身を360度の方向から撮影し、AIを活用して200枚以上の画像データから高精細な3Dモデルを作成。動画の撮影は、リコーが開発した次世代会議空間「RICOH PRISM」で実施した。モーションキャプチャーされたモデリングデータを「RICOH PRISM」内で投影することで、没入感のある動画撮影を実現している。
デジタルクローンの活用例
デジタルクローンはリクルート活動用の動画やWebサイト・SNSサイトへの動画掲載、応接ルームへの常設展示による来場者へのおもてなしなど、プロモーション目的で利用可能。そのほか、社員への教育ツールやアイデア活性化ツール、社員とのコミュニケーションツールなどにも利用可能。