woodinfoは、花粉症の原因となるスギ雄花着生量と花粉飛散量を、衛星画像やドローンによる調査、地上実測を組み合わせて高精度に可視化する「統合型モニタリングシステム」の実証を完了。これをもとにした「花粉発生源解析サービス」の提供を開始した。

  • 高解像度衛星画像による雄花密度マップ

森林・木材流通業に特化したシステム開発・販売などを行うwoodinfoが今回発表したシステムは、経済産業省の令和5・6年度「宇宙産業技術情報基盤整備研究開発事業」の支援を受け、山口・長門市の市有林と鹿児島大学附属高隅演習林で検証を実施したもの。衛星画像のみで雄花着生位置と密度を推定するモデルの正答率は71%に達し、地上検証によって信頼性が確認されたとしている。なお、この検証には山口県農林総合技術センター、リフォレながと、鹿児島大学農学部の3者が協力した。

今回提供開始した花粉発生源解析サービスでは、ユーザーが対象森林の位置図を送付すると、花粉発生源の座標情報と推定飛散量を数値データとして納品。シェープファイルやCSVといった出力形式に対応しており、既存のGIS・森林管理システムへ取り込みやすくしたという。

解析には、Pleiadesなどの高解像度衛星と、Sentinel 2などの中分解能衛星を組み合わせたマルチバンド解析を採用することも可能。無線型RTKとドローン撮影による地上検証で継続的に精度を向上させ、現状では人の目視によるスギ雄花着生のランク判定もドローンで代行するなど、自動化を追求した。

  • 無線型RTKとドローンによる地上検証写真

  • ドローンによる花粉雄花着生レベルの算定

  • ドローンによる花粉雄花着生レベルの自動化

同社の実証解析による試算では、花粉高密度林分を限定的に伐採した場合、年間花粉飛散量は20〜30%低減し、伐採コストも15%削減できる見込みとしている。さらに、中分解能衛星を6日周期でモニタリングする手法を組み合わせることで、施業効率は従来比で最大157%向上と見積もっており、これらの数値は花粉症対策と森林施業の費用対効果を客観的に示す根拠になるとしている。

今回のプロジェクトで培った衛星画像解析技術は、森林由来のボランタリークレジット創出業務にも応用開始。衛星データによる樹冠レベルのバイオマス量推定と、伐採・再造林後のCO2吸収量モニタリングを組み合わせ、クレジット検証に必要なデータをリモートセンシングで提供する。これにより、従来の地上調査に比べて大幅なコスト削減とスピードアップが可能となり、国内外の企業が求める高精度かつ透明性の高い森林クレジット創出を支援するとしている。