
「我々は阪神・淡路大震災のときに初めて救援物資を届けたが、大規模災害は想像している以上に救援が重要だ。世の中で困っている人がいれば、モノを運ぶという仕事をしている我々が協力するほかない」─。AZ-COM丸和ホールディングス(HD)社長の和佐見勝氏はこう語る。
同社は物流などの単発アルバイトのマッチングアプリを展開しているタイミーと大規模災害に備えた協定を締結。災害時に支援物資を輸送する物流拠点の運営や協力人材の確保に向けて連携する。物流会社と単発バイトの企業が災害時における協定を締結する例は珍しい。
AZ-COM丸和HDの中核会社である丸和運輸機関と全国の中小運送会社約2720社が加盟する一般社団法人AZ-COM丸和・支援ネットワークは、大規模災害時に支援物資を輸送する物流拠点などの運営を担うといった協定を全国84の自治体と締結済み。ただ、拠点の運営には人員も必要になる。その際に、タイミーを通じて人員を募集できる仕組みを構築する。
タイミー代表取締役の小川嶺氏は「スポットで働きたいワーカーが1000万人以上登録しており、物流業界の経験者など災害発生時に力を発揮できるユーザーも多い」と話す。同社にとっても物流の知識を持つ登録ワーカーの増加につながる。
両社は昨年10月、さいたま市で「大規模災害時の物流等に関する研修会」を開催。同市と丸和運輸機関が締結する協定に則り、タイミーのサービスを通じて物流業界で働いたことがある同市近郊のワーカーを中心に研修会を実施した。
AZ-COM丸和HDは主力の「EC物流」「低温食品物流」「医薬・医療物流」に加え、「BCP(事業継続計画)物流」の事業拡大に力を入れている。不足するドライバーのみならず、現場の仕分けなどでも人手が足りない中で、工夫を凝らした人の確保がポイントになる。
AZ-COM丸和ホールディングス社長・和佐見勝の「大手・中堅企業のお客様は混載物流など努力している。我々はそれ以上の努力をしていきたい」