KDDIは3月24日、街のデータとauデータを活用してスマートシティの実現を支援する「WAKONX SmartCityソリューション」を3月27日から提供開始することを発表した。同ソリューションでは、街の設備や人に関するデータを収集し分析するデータ基盤(都市OS)を構築することで、データを活用したスマートシティが実現できるという。

同ソリューションは3月27日にまちびらきが予定されている「100年先の心豊かなくらしのための実験場」のビジョンを掲げるTAKANAWA GATEWAY CITYで採用される。東日本旅客鉄道(以下、JR東日本)によるスマートシティの取り組み支援に加え、今後は同社が展開する広域品川圏などの都市開発エリアへも対象を拡大する予定。

  • 都市OSとサービス構築のイメージ

    都市OSとサービス構築のイメージ

WAKONX SmartCityソリューションの概要

同ソリューションの利用により、セキュリティゲートの通過情報や防犯カメラの映像など街の設備を通じて収集した街データに加え、位置情報・属性情報・興味関心データなど同意に基づいて収集したauデータを都市OSに集約する。

防犯・防災、イベント、商業、オフィスなど異分野の膨大なデータを、WAKONXの Data LayerであるKDDI Data Clean Roomで個人情報保護に配慮しながら融合し分析することで、新しい施策を創出し続けるスマートなまちづくりを支援する。

また、施設を横断した街全体へ拡張性が高く変化に強い統合ネットワークを構築し、環境変化に対して柔軟に拡張可能なネットワーク環境を実現するという。さらには、高セキュリティかつ災害に強いサーバ基盤を構築し、都市OSや各サービスのデータを安全に連携する。

ソリューション活用によるサービス実現の例

同ソリューションを活用することで、次のサービスなどが実現できるという。

一人ひとりの興味関心にあった情報をタイムリーに提供するまちアプリ

都市OSに集約された街データとauデータを基に、来客の嗜好性に適した情報を適切なタイミングでレコメンドするアプリを構築できる。また、生成AIを活用してリアルタイムな街の状況を地図上で発信するまちマップなども提供する。街のイベント開催時には、参加をはじめ活動をポイントで可視化し、街とのエンゲージメントを高める仕組みを実現可能。

状況に合わせて自律的に行動するロボットサービス

異なるメーカーのロボット制御や街の設備と協調するロボットプラットフォームと都市OSを連携することで、街のデータに連動した高度なロボットサービスが実現できる。例えば、リアルタイムな街の混雑情報に基づく最適なルートでの配送などが可能となる。セキュリティゲートやエレベーター設備と連携し、「商業施設とオフィス」や「ビルの中と外」など、街中をシームレスにロボットが移動するサービスも可能だという。

街全体のリアルタイムデータから未来をシミュレーションするダッシュボード

都市OS上の街の人流データや設備データなどをリアルタイムに取得し、高速にシミュレーションを実行するダッシュボードを提供する。例えば街で開催されるイベントをシミュレーションし、危険な箇所や人流滞留が発生するエリアがないよう防止策を策定する。イベント当日には1分間隔で人流を予測し、不測の事態でも迅速を対応とする。イベント終了後は売上計画と実績の差分や人流などを基にイベント成功度を分析するとともに次回への改善点を提案する。

イノベーション創出を加速する空間自在ワークプレイスサービス

2022年からKDDIとJR東日本が共同で提供中する、離れていても同じ場所にいるかのようにチームでのコミュニケーションが可能なテレビ会議システム「空間自在ワークプレイスサービス」を活用し、街に集まるスタートアップ企業や産学イノベーション創出を支援する。KDDIによると、従来のWeb会議システムに比べて会話量が48%アップすることが実証されているとのことだ。

  • WAKONX SmartCity構成図

    WAKONX SmartCity構成図