富士通は3月24日、大阪大学大学院 基礎工学研究科の藤井啓祐教授および大阪大学大学院 情報科学研究科の猿渡俊介准教授などが主導する研究グループに参画し、セックやTISとともに量子コンピュータの基本ソフトウェア「Open Quantum Toolchain for Operators and Users」を開発し、GitHubでオープンソースとして公開したことを発表した。

同ソフトウェアは量子コンピュータ・クラウドサービスに必要となる、実行環境構築から運用向けまで網羅する基本ソフトウェアを一括して提供する。研究チームは環境構築から運用までを網羅する基本ソフトウェアを一括してオープンソースとして提供することで、クラウド公開の障壁を減らし、それぞれのニーズに合わせた自由なカスタマイズを可能にした。

  • ソフトウェアを利用した量子コンピュータ・クラウドサービスの全体像

    ソフトウェアを利用した量子コンピュータ・クラウドサービスの全体像

量子コンピュータ・クラウドサービスで利用するソフトウェアは3つの層と運用にそれぞれ分けられる。

フロントエンド層

フロントエンド層はユーザーのPCで動作する量子プログラミング・ライブラリなどを提供し、ユーザーが量子プログラムを作成し入力できるインタフェースを実現する。QURI Parts 連携機能により、ユーザーが作成した量子プログラムを汎用的な形式(OpenQASM 3)に変換し、クラウド層との通信を行う。ユーザーはQunaSys社が開発したソフトウェア「QURI Parts」を使い、Pythonベースでプログラミングできる。

クラウド層

クラウド層はパブリッククラウド上でユーザーやジョブの情報を管理する。クラウド機能によりシステム全体のデータ管理機能を担当し、ユーザー管理やジョブ管理を行う。ジョブとひも付けされるユーザー情報の扱いを局所化し、セキュリティーリスクを低減する。また、フロントエンド機能では、ユーザーが作成した量子プログラムの実行状況や実行結果、量子チップの精度などの情報をWeb画面を通じて提供する。

バックエンド層

バックエンド層は量子コンピュータやその制御を行うサーバ群で構成される。Engine機能は量子計算の実行基盤として、クラウド層やTranqu Server、Device Gatewayと連携し、量子プログラムを実行。実行結果の期待値計算やエラー抑制など、量子計算に必要な各種処理も担う。量子古典ハイブリッドアルゴリズムのサポートにより、高速な実行処理が可能。

Tranquは複数の量子プログラミング・ライブラリおよび量子回路の変換・最適化機能(トランスパイラ)に対応した、ワンストップのフレームワーク。さまざまなトランスパイラとの連携機能により、量子回路ごとに最良のトランスパイラを選択可能。

Tranqu ServerはTranquを利用したトランスパイラ・サービスを提供する機能で、Engine機能が利用する。この機能を利用することによりシステムにさまざまなトランスパイラを連携可能とのことだ。

Device GatewayはEngine機能とPulse Sequencerをつなぐインタフェースとして機能する。モジュラーデザインを採用し、さまざまな量子コンピュータや量子回路シミュレータとの連携に対応する。

運用

運用では量子コンピュータ・クラウドサービスの安定的な稼働に必要な機能を実現する。基本的にユーザーは利用せず、運用担当者が利用するとのことだ。運用に不可欠なキャリブレーションをワークフローとして実行し実行結果の履歴管理と可視化を行うダッシュボードであるQDashは、さまざまな実行環境への対応が可能。

Admin機能は量子コンピュータ・クラウドサービスの運用担当者向けに、ユーザー管理などの機能をWeb画面で提供する。