東京建物の「トフロム ヤエス」、 劇場を設置、八重洲の新たな顔に

差別化のキーワードは 「ウェルビーイング」

「このエリアは伝統と最先端が溶け合う街で、進化を続けていく東京の最前線のエリア」─こう話すのは、東京建物社長の小澤克人氏。

 3月3日、東京建物が再開発組合の一員として推進してきた「東京駅前八重洲一丁目東地区第一種市街地再開発事業(A地区・B地区)」の街区名称が「TOFROM YAESU」(トフロム ヤエス)に決定したことを発表した。

「トフロム」は英語の「TO」と「FROM」を組み合わせた造語。26年竣工予定の大規模再開発で、東京駅直結という利便性が売り。

 オフィス、医療施設、商業施設、バスターミナルに加え「劇場」を設置。東京駅周りに不足していた「エンターテインメント」を付加価値とする。

 八重洲は、東京駅の至近でありながら「街区の細分化、建物の老朽化などでポテンシャルを発揮できていなかった」(小澤氏)が、23年3月に開業した三井不動産の「東京ミッドタウン八重洲」、今回の「トフロム ヤエス」、さらに周辺の再開発が続き、街はその姿を変えつつある。

 差別化のキーワードとして「ウェルビーイング」を掲げる。温泉ミストによる湯治体験が気軽にできる「喫泉室」や瞑想・仮眠プログラム、入居企業の従業員を対象にウェルビーイング向上を図る共用スペースも用意。

 都内の他の複合施設で空室率が高い事例もある中、「トフロム ヤエス」は現時点で約60%が内定。小澤氏は「竣工時点で60~70%を目標にしていたので想定以上の進捗」と話す。

 今の複合再開発は建物のスペックだけでなく、街としての付加価値がなければ選ばれない厳しい時代と言える。