
もしパソコンの画面上で地図を開き、各所にある建物の大きさや不動産価値が一目で分かるようになったらどうなるでしょう。ある不動産の隣の建物と一緒に再開発をする場合、どのくらいの高さのビルが建つかが予測できたらどうしますか。
実は当社の不動産業界における物件検討の効率化を実現するAIサービス「デベNAVI」を使うと、これができます。2020年創業の当社がなぜこのようなことができるのか。
学生起業に失敗した後、大手不動産会社に就職し、約1年で独立して不動産仲介会社を設立・売却。その後、不動産テックベンチャー「イタンジ」を創業し、同社を売却。そして、4度目の起業として当社を設立しました。
不動産業界に身を置いてきた私の業界に対する課題認識は「土地の本当の価値を誰も分からない」ということでした。投資不動産の市場は約280兆円とも言われています。不動産は景気に左右されやすい分野の1つであり、その一方で安定的な賃料を確保できれば景気の変動に強いビジネスになります。今までは立地の良い場所が安定的な賃料を確約できる要素でしたが、インターネットの普及によってこの考え方は変わってきているのです。
しかしながら、今でも100万円の不動産の取引が行われたとしても、第三者による客観的な評価がなく、相対取引が当たり前になっています。地権者は買主が決まっていない状況で売却を始めることが一般的で、成約の蓋然性、価格、成約までの期間が分かりません。
また、買主を探す過程で関与する不動産会社が増えて仲介手数料が増えることもしばしば。買主である投資家はバリューチェーンの川下に位置しており、入手できる情報は不動産会社を経由した投資妙味が少ないものばかりになっているのです。年間約230万件の不動産取引があるにもかかわらずです。
「新しいテクノロジーを社会実装して、不動産領域の最先端をつくる」─。これが当社のパーパスです。このパーパスの通り、公示地価・基準地価、行政のホームページなどで公開されている用途地域などの各種法規制、周辺の成約事例など国土交通省や自治体などが個別で持っている数値をデベNAVIに盛り込み、他にないサービスを提供できるようになりました。
1つの不動産は行政の管轄ごとに様々な数値で計測されているのですが、それらを網羅し複合した視点で不動産を見ることは誰もできなかったのです。その意味では、我々は地道に泥臭くデータを集め、それをシステムに落とし込み、AIの精度を高めていきました。
この〝土地の民主化〟を行うことで、誰もが不動産というアセットを正しく評価できるようになり、誰もが気軽に不動産売買を手掛けることができるようになれば、住宅密集地などでの再開発をもっと円滑に進めることができるようにもなりますし、それが国土強靭化にもつながっていくはずです。
一方、企業にとっても事業用地の仕入や査定における机上での一次検討がボリュームチェックから相場調査までワンストップで行えるようになります。これにより、営業マンの作業時間を削減し、その時間を人間にしかできない商談の時間に充てることができるでしょう。
当社には不動産領域の専門家とAIエンジニアという水と油を両立させているカルチャーがあります。この強みを武器に〝負〟が解消された新しい世界の実現を目指したいと思っています。
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