
政府備蓄米の放出に向けた入札の手続きが3月から始まる。落札した集荷業者には3月中旬頃に引き渡され、店頭に並ぶのは3月下旬から4月上旬の見通しだ。コメ袋に「備蓄米」と明記されるわけではないため、消費者は備蓄米と知らずに購入するかもしれない。
農林水産省によると、2月3~9日の全国約1000店舗のスーパーの平均価格は5キロあたり3829円で、前年同期の1.9倍となった。前週比でも3.8%上昇し、コメの値上がりは続いている。都内のスーパーでは、5000円近い商品もちらほら出始めた。
国民の関心は、「放出によって価格がいつ下がるか」。この1点に集中していると言っていい。政府が今回放出する備蓄米は、一部の業者が抱え込んでいるとされる「消えた21万トン」と同規模で、農水省関係者は「インパクトのある数字だ」と胸を張る。
有識者の間でも、備蓄米の放出により価格高騰を抑える効果はあるとの意見が多い。早ければ3月下旬にも値頃感を得られるとの見方もあるが、値下がりが本格化する時期については意見が分かれている。
備蓄米は産地によってコシヒカリなどのブランド米以外も多いことから、「特定の銘柄しか食べない消費者は価格低下を実感しにくい」との指摘もある。業務用として中食・外食向けに備蓄米が行き渡ると、休止していた「ご飯のおかわり無料」が復活することで、放出のメリットを感じられる可能性もある。
江藤拓農水相は2月14日の記者会見で、コメの先物取引が活発化していることから「流通市場は動き出した」と強調した。ただ、新米が出回り始めた昨年9月の記者会見で、当時の坂本哲志農水相は「需給バランスの中で(価格は)落ち着いていく」と述べたが、その見通しは大きく外れている。
「消えた21万トン」を流通市場に行き渡らせるため、農水省は中小業者にも対象を広げて在庫状況を調べる。緊急時を除いて初めてとなる備蓄米の効果が、政府の思惑通りに表れるか。先行きはまだ見通せない。