CPAエクセレントパートナーズ代表取締役・公認会計士・国見健介が語る「1人でも多くの〝会計ファイナンス人材〟を社会に輩出したい」

企業のグローバル化が進む一方で、IPOやM&A、ガバナンス改革など、会計・ファイナンス、監査・経理・財務といった領域の重要性が増しています。それに伴って〝会計ファイナンス人材〟といった新たな人材が求められています。

 これまで経理や財務と言えば、金額などが正しいかどうか、不正は行われていないかどうかといった、いわば過去の情報をチェックする経営の〝守り〟に位置付けられるケースが多かったように思います。経理・財務の社員というと、地味なイメージも強いのではないでしょうか。

 財務諸表をしっかり読み込める人材が求められているという面はあるでしょう。決算書を作って納める税金を計算する。これまでは、そういったスキルが求められていたことは確かです。

 しかし、VUCA(Volatility=変動性、Uncertainty=不確実性、Complexity=複雑性、Ambiguity=曖昧性)と呼ばれる時代にあっては、それだけでは通用しません。目の前のリスクよりも次なる芽を生み出せるような人材が求められます。今の企業には投資効率や資産配置の最適化が不可欠なため、会計スキルが経営トップにも求められるようになっているのです。まさに会社の未来を良くするための経営の〝攻め〟を担うような人材が必要になっているのです。

 実際、日本の企業でもCFO(最高財務責任者)が活躍するケースが増えてきました。その事例の1つがソニーグループです。先日、CFO出身のトップがCEOを兼務することが発表されましたし、「世界一のアミューズメント企業」を目指すGENDAは銀行出身者でゴールドマン・サックス証券の投資銀行部門に在籍中、エンターテインメント業界の案件を含む20件超のM&Aなどを経験したプロ人材をCFOに招聘しました。

 振り返れば、ホンダ創業者の本田宗一郎氏の番頭として有名な藤澤武夫氏が開発に没頭する本田氏を支えるために、販売と金策に対する高い能力を発揮していました。会計ファイナンス人材とは、まさに社長やCEOの片腕として会社の将来を見据えた手を打つ役割を担う人材なのです。そういった人材を輩出するため、当社は主に3つの事業を展開しています。

 1つ目が学びの支援。スクール「CPA会計学院」を母体とする当社は日本と米国の公認会計士の資格を取得するための講座を用意しています。お陰様で2024年の公認会計士試験の合格者(1603人)のうち6割以上(973人)が当社のスクールの出身者になっています。

 2つ目がイベントを通じた交流の支援。現役のCFOなどと接点を持てるようなイベントを開催し、参加者が新しい知見を得たり、世界観を広げるきっかけにしてもらっています。

 3つ目が採用や転職といったキャリア支援。会計はどの企業や組織にとっても不可欠であると同時に、会計人材にとってはキャリアアップが重要です。優秀な人材を必要とする企業とスキルアップを目指す人材を結び付ける取り組みをしています。

 何よりも重要なのは会計人材自身が「経営者になる」という意気込みを持つことです。だからこそ、海外ではファイナンスの人気が高い。日本もそのように変わらなければなりません。「3大国家資格」と呼ばれる公認会計士の試験に合格した人たちの地頭や論理的思考は海外にも負けないと思います。

 会計ファイナンス人材をデータサイエンティストのような地位にまで高めると共に、1人でも多く社会に輩出していきたいと思っています。

ファーストアカウンティング社長・森 啓太郎「経理特化型AI企業として 照合や確認作業までも自動化 『経営部門の復権』を目指す」