日立製作所の子会社で送配電機器を手掛ける日立エナジーは3月10日、2027年までに2億5000万ドル(約366億9650万円)超の投資を行い、米国バージニア州・ミズーリ州・ミシシッピ州、アジア、南米、欧州の工場における変圧器の重要部品の製造能力を強化すると発表した。変圧器業界全体の製造規模の拡大とサプライチェーンのレジリエンス回復を支援し、世界的な変圧器の供給不足の緩和につなげる考えだ。

  • 日立エナジーは2027年までに2億5000万ドル超を投じ、変圧器の製造能力を高める

    日立エナジーは2027年までに2億5000万ドル超を投じ、変圧器の製造能力を高める

同投資は、2024年に発表した合計60億ドル超の投資に追加して実施する。昨今の変圧器の深刻な供給不足を受け、追加投資を決定した。データセンターの増加やAIの普及による前例のない電力需要の増加にともない、変圧器の需要は従来の予測を超えて急拡大しているという。同社はこの需要に対応するため、米国および世界中のサプライチェーンを強化し、変圧器の製造規模を拡大することに注力する。また、100人以上の新規雇用も実施する。

  • 投資を実施する国・地域

    投資を実施する国・地域

変圧器は、効率的な送配電を実現する機器であり、電力網において重要な役割を果たす。また、再生可能エネルギーの連系、系統間連系、データセンターへの電力供給、運輸分野の電化などにも必要な機器であり、エネルギーシステムの脱炭素化を促進するものだ。日立エナジーは、世界中に60超の変圧器工場と30のサービスセンターを持ち、変圧器の構成部品・絶縁部品を幅広く提供している。

日立エナジーのアンドレアス・シーレンベックCEO(最高経営責任者)は、「変圧器をはじめとする送配電機器の需要は、これまでにない規模と速度で拡大している。世界最大の変圧器メーカーとして、変圧器とその重要部品を供給する能力を強化し、産業の成長と、重要なインフラプロジェクトの実行を支援する責務がある」と述べている。