
これまでの本業だけでは生きていけない時代に
金融の大手2社が、時代に合わせた変化を模索している。
2025年2月14日、第一生命ホールディングス(菊田徹也社長)は、25年6月の株主総会での承認を得た上で、26年4月1日付で社名を「第一ライフグループ」に変更すると発表した。
同社は24年5月に福利厚生代行大手のベネフィット・ワンを約2900億円で買収するなど、主力の生命保険だけではない分野の開拓を進めている。今後も、M&A(企業の合併・買収)を活用して非保険領域の拡大を進め「保険サービス業」への転換を図る考え。
また、14年に当時約5750億円を投じて買収した米プロテクティブが、海外展開の軸に成長。同社を通じた買収が利益成長に貢献している。
こうした非保険、海外を伸ばしていく時に、新たな社名を必要としたということ。事業会社も4社は社名変更するが、第一生命保険と第一フロンティア生命保険は変更しない。
また、SOMPOホールディングス(奥村幹夫社長)は同じ2月14日、25年度から経営体制を変更すると発表。
国内損害保険事業と海外保険事業を担う「SOMPO P&C」、国内の生保事業と介護事業を担う「SOMPOウェルビーイング」という2つの部門に再編。SOMPO P&CのCEOには現在海外保険事業を担っているジェイムス・シェイ氏、SOMPOウェルビーイングCEOには国内生保事業を担う大場康弘氏が就き、奥村氏の権限を一部委譲する。
SOMPO HDは15年に介護事業に本格参入するなど、保険以外の領域開拓では先駆的な動きを見せてきていた。さらに国内生保ではSOMPOひまわり生命保険が「健康応援企業」を標榜し、健康増進型保険の領域では大手と互角に争う。
2社の動きは、従来の本業だけでは生きていけない難しい時代に入ったことを象徴している。第一生命HDでは、50代以上、在籍年数15年以上の人材に対して希望退職を募集するなど、人の入れ替えも進めている。金融では今後、銀行、特に地方銀行などは本業以外をどう開拓するかが問われる可能性がある。