フリマアプリのメルカリは3月4日、MVNO(仮想移動体通信事業者)事業に参入し、新たにモバイルサービス「メルカリモバイル」の提供を開始すると発表した。NTTドコモの回線を利用し、音声・SMS・データ通信サービスを提供する。また、データ通信料(ギガ)を個人間で売り買いできる機能も日本で初めて搭載する。
「メルカリモバイル」が始動、ギガの売買が可能
料金プランは月額990円(2GB)と2390円(20GB)の2種類。申し込みから支払いまでフリマアプリの「メルカリ」内で完結する。4日よりiOSのユーザーから段階的に利用でき、Androidについても順次提供していく予定だ。
4日の発表会に登壇したメルカリ 執行役員CEO Fintech 兼 新規事業責任者の永沢岳志氏は「メルカリグループはモノ、カネ、時間やスキルを循環させてきた。モバイル事業に参入することで、価値の循環にギガが加わる」と強調した。
新サービスの最大の特徴は、余ったギガを売れることだ。ギガを余らせてしまう人とギガが足りない人をマッチングさせ、ギガを個人間で自由に売り買いできる機能を導入する。月々のギガが余ったり不足したりした際は、1GBあたり200~500円でユーザー同士で売買できる。ギガを売って得られたお金はメルカリの残高にチャージされ、日常の買い物や決済サービスの精算に活用できる。
メルカリは販売手数料として販売価格の10%を出品者から徴収する。メルカリ公式から1GB(550円)単位でギガを購入することも可能だ。ギガを追加購入した場合も、いずれかのプランに付属するギガから先に消費されるしくみだ。
「キャリア乗り換えのハードルを下げる」
同社の調査によると、月々のギガが余っても「特に何もしていない」「繰り越しているが、結局使わず余る」と回答した人は7割を超えた。また、データ量が足りない人のうち5割弱は「毎月追加でギガを購入する」など、契約内容と実際の利用実態にギャップがあることが判明した。
また、キャリアの乗り換え頻度の低さもメルカリが解決したい課題の一つだ。2010年代にスマートフォンが広く普及して以降、大手キャリアのサブブランドやMVNOの登場により、通信契約の選択肢は大きく広がった。
一方で、メルカリの調査によると、「スマートフォンの通信キャリアを変更したことがない」もしくは「変更経験が1回まで」の消費者は6割強にのぼる。一番多い理由として「乗り換え手続きが面倒だから」(27.1%)が挙げられ、乗り換え・変更は依然としてハードルが高いのが現状だ。
永沢氏は「メルカリグループが提供するサービスは、一貫して分かりやすさと使いやすさを追求している。普段使い慣れたメルカリ内で申し込みが完結し、ギガの売買もできる。使いやすさと柔軟さを武器に、キャリア乗り換えのハードルを下げる」と説明した。
注意したいのは、ギガの翌月繰り越しができないことだ。また、追加で購入したギガは出品することができない。同社は今後、ドコモ回線に加えau回線も追加する予定で、支払い手段も順次追加していく。
「ギガをモノやお金、暗号資産やNFTといった別の価値に変えることができるようになる。メルカリモバイルを通じて、誰でもかんたんに利用でき、ギガを無駄なく使える選択肢を提供していく」(永沢氏)