マツダは、本社工場の鋳造基幹設備であるキュポラ溶解炉において、バイオマス燃料へ全量転換する実証実験を行い、安定的な操業が確認できたと2月27日に発表した。
鋳造工程で使用されるキュポラでは、これまでは燃焼時に化石燃料を使っており、CO2を排出していた。今回の実証実験では、カーボンニュートラル(CN)なバイオマス燃料であるヤシ殻由来のバイオ成型炭を100%使用したとのこと。
同社では「100%バイオマス燃料によるキュポラの操業は、世界的に社会実装が確認されていない」としており、鋳造業界および地域パートナーとの連携により実証実験に挑戦。今後、地域連携の輪を拡げ、地産地消エネルギー循環スキームの構築などを進め、2030年度までにバイオ成型炭などバイオマス廃棄物由来の燃料によるキュポラのCN操業をめざすとしている。
マツダは2050年のサプライチェーン全体におけるCNに向けて、2035年にグローバル自社工場でのCNを実現するために、「省エネルギーの取り組み」「再生可能エネルギーの導入」「CN燃料の導入等」の三本柱で各種取り組みを進めている。
CN燃料導入の取り組みのひとつである、バイオマス燃料への全量転換の実用化においては、原材料の国内での安定調達が欠かせない。同社では2023年3月に有志企業・団体を募り「キュポラCN共創ワーキンググループ」を設立し、バイオマス燃料化の開発研究や製造法の確立および、原料の地場調達に関する調査を行ってきた。
マツダは、地場産業活性化と地域貢献を目指して、広島近隣のバイオマスの廃棄物収集から製造までの地産地消エネルギー循環スキームの構築に向けた活動を進行中。その一環として2024年11月から、マツダ本社内のタリーズコーヒーショップと自動販売機からコーヒー抽出後の豆殻を収集し、その豆殻からバイオ成型炭の製造が可能なことを実証実験で確認している。