Techstrong Groupはこのほど、セキュリティブログ「Security Boulevard」の記事「DeepSeek vs ChatGPT: Why ChatGPT Still Leads the AI - Security Boulevard」において、5つの視点から、中国企業が開発したAIチャットボット「DeepSeek」とOpenAIの「ChatGPT」を比較・解説した。

  • DeepSeek vs ChatGPT: Why ChatGPT Still Leads the AI - Security Boulevard

    DeepSeek vs ChatGPT: Why ChatGPT Still Leads the AI - Security Boulevard

ChatGPTとDeepSeekを比較した5つのポイント

DeepSeekはまだ長い道のりを歩んでおり、現時点ではChatGPTがより優れた選択肢として、その理由を次の5つの視点から解説している。

成熟度と市場への影響力

OpenAIのChatGPTは2022年11月に登場してから2年あまりの間、ユーザーからのフィードバックを受け改善を繰り返してきた。世界中で数百万もの企業ユーザーを抱え、そのエコシステムは成熟している(参考:「ChatGPTの最高執行責任者を務めるBrad Lightcap氏がXへの投稿で4億WAU、2百万ビジネスユーザー達成を発表」)。

対するDeepSeekは将来有望だが初期段階にあり、パフォーマンスの微調整に必要なデータの蓄積やユーザー層が不足している。

トレーニングデータと知識ベース

ChatGPTには広範かつ多様なデータセットでトレーニングされたモデルがある。そのため、幅広いトピックを驚くほど正確に処理できる。DeepSeekのデータセットはChatGPTの多様かつ包括的な知識ベースには及ばない。

コミュニティとエコシステムのサポート

ChatGPTには大規模な開発者コミュニティ、多数の統合されたAPI、広範なドキュメントが存在する。また、OpenAIは継続的な改善と大規模な導入をサポートする堅牢なエコシステムを備える。

DeepSeekはこの点においても規模が小さく、サードパーティのツールの統合が不足している。

会話の継続性とコンテキスト処理

ChatGPTが最も高く評価されている機能の一つに、会話の継続性がある。長い会話においてもコンテキスト(文脈)を維持することができる。この性質により微妙なやり取りが可能となっており、カスタマーサービス、教育、クリエイティブな目的にも利用できる。

DeepSeekは特定のタスク処理において優れた結果を示すが、長い会話でのコンテキストの維持に困難を伴う。

倫理的配慮とコンテンツモデレーション

OpenAIはChatGPTの悪用を防止するため、ガイドラインの構築とコンテンツモデレーションに多額の投資を行ってきた。有害なコンテンツを検出し、世界各国のデータ保護規制に準拠する保護層を導入している。

DeepSeekはこれらが開発中とみられ、現時点では倫理面で問題がある。

当面の間はChatGPTが優勢

記事では上記の理由によりChatGPTに軍配を上げている。しかしながら、これらは改善を繰り返すことで解決可能と推測され、いつまで優位が続くかはわからない。

DeepSeekは中国政府の意向が強く影響しており、チャットボットの世界的スタンダードに成長することには懸念がある。それでも、競争がイノベーションを推進し状況に変化が生まれる時がいずれ来ると予想されている。