
高架下の価値が見直されて
「東急沿線では不動産や生活サービスなどを展開しているが、不動産の1つに〝働く不動産〟が求められている。中・大規模なシェアオフィスはあっても、小規模なものはなかった」ー。こう語るのは東急不動産運用事業部営業統括グループの木戸康介氏。同社は自社で初となる直営スモールオフィスを始めた。
同社のオフィスビジネスと言えば、法人企業向け会員制サテライトシェアオフィス事業「NewWork」を全国562店舗で展開。コロナ禍以前の16年から始めていたが、当初はそこまでニーズはなかったが、コロナ禍を経て一気に需要が拡大。それに伴って店舗を広げ、今も高稼働率を誇る。
今回の「simplace by NewWork」はその新ブランド。東急東横線の学芸大学駅から徒歩4分の場所にある高架下を活用。もともとは同社グループの東急建設や東急ストアで働く従業員の詰所だった。それをリノベーションし、追加料金なしで会議室やラウンジ、複合機、シュレッダー、共用の無線・有線LANを利用できる。ニューワークとの併用も可能だ。
東京学芸大学をはじめ、目黒区には東京大学や東京科学大学などがあり、「クリエイターなどの個人の起業家が多い」(同)。しかし、企業規模に見合ったオフィス環境があまりなく、「マンションの1室で始めるくらいしか選択肢がなかった」。シンプレイスは個人や少人数で立ち上げた企業の受け皿となる。
実は学芸大学は英・ロンドン発のグローバルシティガイドメディア『タイムアウト』が発表した「世界で最もクールな街 2024」に日本で唯一ランクインし、15位だった。
高架下といえば駐車場などのイメージが強いが、JR東日本が商業施設や保育園を整備するなど、自社の持つ経営資源の有効活用が図られている。