
私達は「マーケティングアドバイザリーファーム」として、グローバル企業、上場企業、スタートアップまで、100社以上に対してマーケティング戦略策定や実行支援を手掛けてきた企業です。2024年5月には、その経験を基に『UAV あなたが知らない あなたの会社だけの強み―顧客に選ばれ続ける「最強ブランド」のつくり方』(日経BP)を出版しました。
日本企業のお手伝いをしてきた中で感じるのは、差別化のために競合を調べ、競合がやっていて自社がやっていないことを問題視して、負けないために、競合と同じことをして差分を埋めようとしています。
そして競合側のA社、B社も同じことを考えます。そうすると何が起きるでしょうか。ご想像の通り、各社が同じことをして、各社の差が縮まるようになるわけです。顧客からすれば、差がなく、同じようなものであれば安い方がいいという思考になり、コモディティ化が起きます。価格競争になると、当然ながら収益性は落ちます。
差別化をする目的でリサーチすることで、結果として「同質化」させてしまうということが、多くの日本企業で起きています。
この問題に対して何をしなければいけないかというと、買ってくれるお客様の深い理解を得ることが重要です。そして競合が真似できないようにするために、自社の強みとの掛け算が大事になります。これが「UAV」(Unique Attractive Value=顧客に選ばれ続ける価値)です。
USP(Unique Selling Point=商品・サービスの強みや独自性)も似た概念として紹介されることがありますが、多くの企業では、自社視点でUSPを定義してしまっているために、プロダクトアウト的で、お客様が求めていない価値である時も多いということには注意が必要です。
UAVでは自社の強みを知ることが重要ですが、自社の強みは往々にして、自分達にとって当たり前で、気付かないことが多いのです。我々が「これが御社の強みですね」と指摘しても「こんな当たり前のものが?」と言われてしまうことがあります。
そこで我々がお手伝いをするわけですが、会社の商品、サービスを購入、使用されている方々の中から特に「ファン」である方を対象に独自調査をしていきます。これで会社のUAVが浮かび上がってくるのです。
我々がお手伝いした会社さんからは、UAVが開発できたことによって営業、商品開発、マーケティングなど部門を横断した「共通言語」ができたという声をいただきます。
また、自社の強みを分析する過程で、社内から大小入り乱れて5~10個の強みが出てくることがありますが、裏返すと強みが分散しているということです。それぞれが、自分の思う強みを伸ばそうと動くので、会社全体の力にならないのです。これがUAVが定まると選択と集中ができ、効果が最大化します。
さらに皆さんが言われるのは「霧が晴れた」という言葉です。「どうすればいいかわかった」、「自信がついた」という言い方をされる方もおられます。
UAVを考える時に、最も大事なのは商品をよりよくすることです。UAV、そこに向けて組織横断で注力でき、結果として会社全体が強くなり、業績が伸びるという作用が働きます。
24年11月には、企業のブランドマーケティング組織構築と、戦略的な人材を育成するプログラム「ブランドマーケティングコーチ」の提供も開始しました。今後も企業の強みを引き出し、伴走する存在でありたいと思います。