【財務省】トランプ政権発足でも 加藤大臣は「無難」な発言に終始

1月20日にトランプ米政権が発足し、日本経済の動向に不透明感が強まっている。加藤勝信財務相は21日の閣議後会見で、米国が日本最大の輸出国であり投資先である点を指摘した上で「新大統領の政策などの影響が、貿易や金融市場といった様々なルートを通じて、どのように生じてくるのかしっかり注視する」と強調。「日米経済関係のさらなる深化・発展を図るための協力を進め、新政権とも様々なレベルで緊密な意思疎通を図っていきたい」と述べた。

 加藤氏は外相経験こそないが、第2次安倍晋三政権下で内閣官房副長官を務め、第1次トランプ政権の時期には、拉致問題担当相として対米外交に関わった。

 一方、石破茂首相はトランプ氏との信頼関係構築が喫緊の課題とされ、日米首脳会談の開催とその成果が焦点だ。石破内閣の重要閣僚である加藤氏の知見が活かされてもよさそうだが、この日の会見では、報道陣から関税や税制などトランプ氏の政策への対応について聞かれても「具体的な話が見えてこないと予断を持って申し上げることは難しい」と繰り返した。

 財務省幹部は「担当大臣ではないから淡々とするしかない」と理解を示すが、同じ会見でトランプ氏の世界保健機関(WHO)からの脱退表明に関し、厚生労働相経験者として感染症対策を例にあげて「今は地球規模で感染が広まっていく。そうしたつながりの空白があってはならない」と明言したのとは対照的だ。

 自民党内では「加藤氏は次(の総裁)への意欲をまだ持っている。首相を本気で支える気はない」(中堅)との見方が多いが、加藤氏にとっては財務相を「無難にこなしている」(同)だけなのだろうか。

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