富士ソフトに対して株式公開買付け(TOB)による買収提案を行なっているBain Capitalが2月10日、撤回の選択肢を検討していると発表した。

KKRが買付け価格を引き上げ

Bain Capitalは2024年10月、富士ソフトに対するTOBの意図を発表していた。同社は米国のプライベートエクイティファンドであるKKRが富士ソフトの賛同を得た形でTOBを続けていたが、Bainは当時それを上回る買付け価格で提案した。

Bainの買付けは2月4日に開始を予定していたが、KKRが買付け価格を1株9451円から9850円に引き上げると発表したことを受けて、今回の検討となった格好だ。

「(買付け価格の)引き上げをせずに本公開買付けを開始したとしても、本公開買付けの成立は見込めないことから、本公開買付けを2025年2月5日に開始することを見送る判断をした」とし、「本公開買付けに係る予告を撤回することも選択肢に含め、今後の方針について慎重に検討する」と記している。なお、KKRは1回目のTOBを1株8800円で実施していた。

富士ソフト創業者の野澤宏氏は2024年10月、BainによるTOBの提案をサポートする旨を発表していた。一方で、KKRはすでに34%の株式を保有し、取締役の支持も得ていた。

2月11日(現地時間)付のAxiosは「米国のプライベートエクイティ企業は事務所を閉鎖するなど日本市場を避けていたが、このところ競争が激しくなっている」と記している。その背景として「一部の日本企業において緩みや規律の欠如を抱え始めたという見解がある」としている。