Microsoftはこのほど、「Announcing Windows 11 Insider Preview Build 27788 (Canary Channel)|Windows Insider Blog」において、「Windows Insider Program」のカナリアチャネルにWindows 11ビルド27788をリリースしたと発表した。
このリリースではMID(Musical Instrument Digital Interface:電子楽器デジタルインタフェース)2.0が完全にサポートされた。従来のMIDI 1.0の実装もアップデートされ、高速データ転送、解像度の向上などを実現したという。
MIDI 2.0の完全なサポート
MIDIは1981年ごろに国内外の企業により開発された電子楽器の演奏データに関わる標準規格。1983年にMIDI 1.0が公開され、それ以降、多くの音楽制作に利用されている。現在は音源を必要としない音声規格(AACやOggなど)があり、一般ユーザーが利用する機会は減少したが、現在も音楽制作や音楽会場などで利用されている。
Microsoftにより開発された新しいWindows MIDIサービスはMIDI 1.0、MIDI 2.0に対応した新しいMIDIスタックとされ、ARM64を含むWindowsがサポートするすべての64ビット環境で動作する。
新しいMIDIサービスの特徴は次のとおり。
- 高速データ通信、より忠実度の高いメッセージ、コントローラ値の解像度の向上、完全なインサービスMIDI 2.0エンドポイント検出およびプロトコルネゴシエーションなど、MIDI 2.0を完全にサポート
- 転送速度の向上に伴いタイミングが改善。これによりジッターが減少
- MIDI 1.0、MIDI 2.0の両方をサポートする高速なUSB MIDIドライバ搭載
- すべてのエンドポイントがマルチクライアントになり、複数のアプリから同時にデバイスを使用可能
- ループバックアプリとアプリ間MIDIを内蔵
- MIDI 1.0とMIDI 2.0の自動変換に対応
- アプリから利用できるデバイスメタデータの大幅増
- WinMM(MME)MIDI 1.0 APIおよび将来のWinRT MIDI 1.0との下位互換性を確保。アプリケーションは変更なしで新機能を導入できる。また、MIDI 1.0機能レベルからMIDI 2.0にアクセス可能
- MIDIサービス、すべてのトランスポート、すべてのツール、テスト、およびSDKをMITライセンスの下、オープンソースで提供
新しいUSB MIDI 2.0クラスドライバは、音楽電子事業協会(AMEI: Association of Musical Electronics Industry)の厚意によりMicrosoftに提供された。これはUSB MIDI 1.0およびUSB MIDI 2.0の両方に対応した高速USB MIDIドライバとされる。
新しいソフトウェア開発キット(SDK: Software Development Kit)や詳細は、次のページから確認できる。
- Overview | Windows MIDI Services
- GitHub - microsoft/MIDI: Windows MIDI Services
- Releases · microsoft/MIDI
その他の新機能
このリリースでは、MIDI以外にも複数の変更や改善が行われている。注目される変更点は次のとおり。
- スマートフォンにて最後に表示または編集していたOneDrive上のOfficeドキュメントをシームレスにWindows 11上で再開できるようになる。具体的には、PCロック解除の5分前までに作業していた最後のドキュメントを通知し、通知をクリックすると同じファイルをWebブラウザから開くようになる。ただし、双方のデバイスが同じ個人用のOneDriveにサインインしている場合にのみ機能する
- エクスプローラーオプションの「ログオン時に以前のフォルダーウィンドウを表示する」を有効にしている場合、すべての追加タブも復元されるようになる
- スキャナーアプリがスキャナーを検出しない根本的な問題を修正した
今回リリースを発表したカナリアチャネルは最も不安定なテストチャネルとされる。すでに多くの不具合が報告されており、それを理解した上で新機能のテストに参加する必要がある。Microsoftは不具合の発見、意見などがある場合は、フィードバックハブ(WIN+Fキー)から報告してほしいと呼びかけている。