米NetAppの日本法人であるネットアップは1月30日、同28日の「NetApp INSIGHT Xtra」開催に合わせて来日した米国本社CEOのGeorge Kurian(ジョージ・クリアン)氏による、事業戦略や製品戦略に関する説明会を都内で行った。

  • 米NetApp CEOのジョージ・クリアン氏

    米NetApp CEOのジョージ・クリアン氏

“質の高いデータ”を持つ必要性

まず、クリアン氏は「日本は当社にとってアジア最大のマーケットだ。私たちはデータインテリジェンスの時代にいる。これはデータの第三世代であり、第一世代はドキュメントなどの書面をコンピュータ上にデジタル化すること、第2世代はビジネスプロセスに特化したデータの履歴を時間軸でたどり限定的に確認することだった。そして、第三世代は顧客、社員、パートナー、サプライヤーなどの情報すべてを組織内におけるデータとして統一化するものとなる」と述べた。

同氏は、顧客を深く理解するためにはCRM(Customer Relationship Management)やオーダーマネジメントシステムにある取引情報に加え、顧客とのEメールやオンライン会議などの情報をすべて組み合わせて統一化していくことが求められているという。

こうした、あらゆるタイプのデータであるユニファイドデータのITインフラを持つことで、初めてデータとインテリジェンスの時代において、成功を担保することができるとも同氏は語る。

一方で、使いやすいインタフェースでビジネス上のデータを分析する洗練されたツールにより、データの分析・統一化が可能になっている。しかし、こうしたインテリジェントなツールを効果的に利用するためには、そもそも“質の高いデータ”を持つ必要がある。質の高いデータを保持するためにはデータの管理に加え、ガバナンスを効かせてプライバシーをコントールすることが求められている。

AIがロケットだとしたら、データは燃料

クリアン氏は「AIがロケットだとしたら、データは燃料。パワフルなAIのツールを用い、オープンデータを活用してさまざまなことが可能にはなったが、競合優位性を保つ1つのソースになるものが質の高いデータを持つことであり、これは非常に重要なこと。そして、データインテリジェンスの時代においては成功するためにはテクノロジープラットフォームとして、“インテリジェントなデータインフラストラクチャ”が不可欠になる」と力を込める。

  • クリアン氏

    クリアン氏

インテリジェントなデータインフラストクチャとは、同社が2023年から打ち出しているものだ。これは、どのようなクラウド、データ、アプリケーションにしろ活用できることが求められるものだという。

加えて、サービスと機能を組み合わせることで、前述のようにセキュリティ、プライバシー、ガバナンスを担保することも求められるとのことだ。

同社は過去数年間にわたり、インテリジェントなデータインフラの領域においてイノベーションを加速しており、最近では特に注力している領域がAIのアプリケーションだ。

データインテリジェンスの時代で成功するために支援

その特徴として同氏は「超高速かつハイパフォーマンスのインフラストラクチャ」「インテリジェントなデータエンジンとデータインフラストクチャの組み合わせ」「データ向けのインテリジェントサービス」の3点を挙げている。高速かつハイパフォーマンスのインフラストラクチャについては、同社製品・サービスは新しいAIのアプリケーションやGPUにも耐えうるものであるという。

また、インテリジェントなデータエンジンとデータインフラを組み合わせに関しては、データを検索しやすくしたり、モデルや運用のバージョン管理を可能にすると同時に、モデルとデータセットを組み合わせながら変更管理などもに対応することができるとのこと。

さらに、データ向けのインテリジェントサービスとして、コンプライアンスやプライバシーを意識したデータ保護やメタデータ管理、データマスキングなどの高度化が図れるとのことだ。ハイパースケーラーのAIプラットフォームと統合した形でも可能としている。

最後に、クリアン氏は念を押すように「私たちはデータインテリジェンスの時代にいる。この時代の中で成功するためには、自社のビジネスを深く理解するとともに、データの統一化が求められている。こうした目的を各企業が達成するにあたり、当社はインテリジェントなデータインフラストラクチャで支援していく」と力を込めていた。