ロセッサを搭載しており、ベクトル検索の大幅な高速化、IOPSの高速化とレイテンシーの短縮、データスキャンとクエリ処理能力の高速化を実現している。
日本オラクルは1月17日、「Oracle Exadata」プラットフォームの最新世代となる「Oracle Exadata X11M」を発表した。「Oracle Exadata」はコンピュート、ネットワーキング、ストレージが最適化されたハードウェア上にデータベースをコアとした搭載している。
「X11M」はハードウェア、ソフトウェアの両面において強化されており、前世代と同じ価格で、AI、分析、オンライン・トランザクション処理(OLTP)のパフォーマンスが大幅に向上しているという。
執行役員 事業戦略統括 首藤聡一郎氏は、「X11Mは、ハードウェアの限られたリソースの性能をいかにして発揮させ、コストパフォーマンスを向上することにフォーカスした製品」と述べた。
ハードウェアの強化:AMD EPYC 96コア・プロセッサ搭載
X11MはAMD EPYC 96コア・プロセッサ、同プロセッサに対応した最新のメモリを搭載している。これにより、X10Mと比べ、プロセッサの処理は最大25%、メモリの処理は最大33%高速化している。
ストレージ・サーバにおいては、フラッシュがPCIe 5.0に対応したことで、X10Mよりも2.2倍速くなっているほか、Exadata RDMAメモリがアップグレードしたことで最大33%速くなった。AMD EPYCプロセッサの処理もアップグレードしたことで、X10Mより最大11%高速化した。
首藤氏はハードウェアの強化に加えて、最小構成がこれまでは2ソケットだったところ、X11Mは1ソケットに対応するようになったことを紹介した。これにより、「従来の8分の1のモデルからデータベース、ストレージ各ノードで必要に応じてスケールできるようになった」として、「顧客からすると、コストパフォーマンスを上げられるのではないか」と同氏は述べた。
データベース・サーバのパフォーマンス向上
X11Mにおいては、AIベクトル検索、OLTP、分析のパフォーマンスが向上している。
ベクトル検索のインデックスはHNSWとIVFの2種類があるが、いずれもX10Mより高速になった。データベース・サーバ上で用いられるHNSWは最大43%、また、ストレージ・サーバ上で用いられるIVFは最大55%速くなる。また、ソフトウェアの最適化により、ストレージサーバでのデータ・フィルタリングが4.7倍、バイナリ・ベクトル検索時のクエリが32倍速くなり、AI検索がさらに高速になるという。
OLTPに関しては、シリアル・トランザクション処理が最大25%高速化するとともに、スループットが最大25%向上し、SQL 8K I/Oの読み取りレイテンシーが最大21%低下(現在は14マイクロ秒)している。
分析については、分析クエリ処理が最大25%、ストレージ・サーバ上の分析I/Oが最大2.2倍高速化し、データベース・インメモリ・スキャンが最大500GB/秒に増えている。
首藤氏は「ハードウェアの刷新、これに伴うアプリのアップデートで、コストパフォーマンスが上がっている」と語っていた。
電力効率性の向上
首藤氏は、X11Mがパフォーマンス、稼働、電力、管理について、高い効率性を提供していると説明した。例えば、電力については新たな管理モードの提供により、「未使用コアのシャットダウンによる省電力化」「電力制限の定義による省電力化」「低消費電力モードとピーク・パフォーマンス・モードの定義による省電力化」を実現している。
首藤氏は、「AMDのEPYC5世代はコア単位ではインテルよりも少ないが、1ソケットに96コア入っているので、ソケット単位でみると電力量が大きい。ただし、すべてのコアを使っているわけじゃないので、使っていない時コアをシャットダウンできないかというニーズがあった。これに応えるため、今回から未使用のコアをシャットダウン可能になった」と説明した。
そのほか、首藤氏はX11Mの特徴として、稼働環境、稼働形態の柔軟性を挙げていた。Exadataは、オンプレミス、「Exadata Database Service on Exadata Cloud@Customer」「Autonomous Database on Exadata Cloud@Customer」、「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」、マルチクラウド環境に導入できるが、これまでは同時に提供されていなかったが、X11Mはすべての形態で同時提供が開始された。
OCIはワシントンとフェニックスのリージョンで提供が始まっており、他のリージョンは順次展開される予定だという。