新しい年になり、今年こそは仕事を効率よく片付けられるようにしようという人もいるのではないか。生成AIを使いこなすことで業務の一部は簡単に片付くようになったかもしれない。それでも「集中の問題は(テクノロジーでは)解決できない」というのが、CNNのコンテンツ管理技術チームの幹部だ。デジタルに頼らない生産性向上に向けたテクニックを紹介している。

マインドフル・プロダクティビティとは?

CNNのプラットフォームチームでシニアプロダクトマネージャーを務めるUpasna Gautam氏。アプリマニアでもあり、これまで時間追跡、予定/ToDo、習慣追跡など生産性改善につながるようなアプリを多く試してきたという。

同氏は「時間管理の問題を解決してくれると思ってあれこれ試したが、結局どれも解決してくれなかった。アプリはユーザーの集中力を修正することはできない」という。

そこで、Gautam氏が推奨するのは「マインドフル・プロダクティビティ」だ。“マインドフルネス”という言葉を聞いたことがあるかもしれないが、マインドフル・プロダクティビティとは「何を達成したいのかを知り、その達成に向けて意図を持って取り組むこと」と説明する。そのためには、自分が何をしているのか、どのように行っているのかに注意を払う必要があるとのこと。

「朝から晩まで猛烈に働いたり、一日が終わると倒れるような働き方で100のタスクをチェックしたりすることではない」とGautam氏。重要なことに焦点を当てて仕事上の目標を達成しつつ仕事以外の生活も送るようにすることができるという。

マインドフル・プロダクティビティの実践方法

マインドフル・プロダクティビティの具体的な実践方法も教示している。

1. 意図的な時間管理{#ID3}

自分の時間は自分で守る。集中して作業するセッションをブロックして大切にする。Gautam氏の場合は月曜日と金曜日に3時間のブロックを確保しており、中断はないという。週半ばは、小さなブロックとして2時間程度を組み込み、重要なタスクのための3時間ブロックに向けて勢いを保っているとのことだ。3時間のブロック中に集中力を最大限にするために、不在メッセージを残したり、周囲に明確にするなどの工夫もしているそうだ。

2. マルチタスクの廃止{#ID4}

もしマルチタスクができないと思っているのなら、心配はない。ハーバード・メディカルスクールのDr. Aditi Nerurkar氏によると「脳は一度に1つのことしかできないように配線されている」とのこと。表面上はマルチタスクの作業は、実際には「タスクスイッチング」であり、これは生産性を低下させる原因になるという。一度に複数のことをやっても達成することは少ない。マルチではなくモノタスクでこなしていこう。

3. 1日の終わりに“儀式”を{#ID5}

寝る前、あるいは仕事が終わるときに、儀式を追加する。その日できたこと、できなかったことを振り返り、翌日取り組む必要があること(優先事項)を3つほど書き出す。明日これをやろうと決めることは、ポジティブな流れを起こす。高揚感を持ってその日を終えることができるし、翌日も迷うことなく仕事を開始できる。Gautam氏は次の日やると決めたことを付箋に書き、画面に貼っているという。

4. ToDoリストの廃止{#ID6}

朝は、前日の夜に決めた優先タスクをカレンダーにスケジュールされていることを確認する。これにより、優先順位が実際に優先され、必要なことが完了するようにするという。カレンダーにすべてを盛り込むことができる日もあれば、できない場合もあるだろう。ここでのポイントは、カレンダーをToDoリストとして使うということ。カレンダーに盛り込めなかったものは、その日は達成できないことになる。逆を言うなら、カレンダーに入れたものは重要度が高いものであり、やるとコミットしたものといえる。これにより、重要なことを取りこぼさずに、現実的に時間を管理できる。

5. 金曜日の戦略的活用{#ID7}

週末前の金曜日は、毎日夜やっていることの1週間バージョンとなる。次の週やるべき計画を立てておくことで、日曜の夜に次の日、次の週の心配をする必要がなくなるという。

いかがだろうか。Gautam氏が紹介するマインドフル・プロダクティビティは効率化の奴隷になるのではなく、自分の時間を自身で“意図的に管理する”というアプローチだ。これにより生産性を高め、精神の状態をより良い状態に保つことができそうだ。「No apps, no hacks. A guide to optimizing productivity」として同氏がコラムを執筆している。