Sansanは1月7日、営業DXサービス「Sansan」に初めて対話型AIを活用した機能「AI営業ロールプレイング」を実装したと発表した。

AI営業ロールプレイングは、対話型AIを想定顧客に見立ててチャット形式で対話を行い、次回の商談を取り付けるまでの一連の流れを模擬演習できる新機能。ユーザーは、想定顧客の難易度を「初級」「中級」「上級」の3段階から選択し、「業界名」「部署名」といった前提条件を入力するだけで演習を始めることができる。

  • AI営業ロールプレイング 画面イメージ

    AI営業ロールプレイング 画面イメージ

開発の狙いについて、Sansan 技術本部 研究開発部 SocSciグループの中尾遼太氏は「営業活動においてロープレ研修は多くの企業で採用されているが、準備などの工数・費用が多大にかかるため、気軽に実施できないのが実情だ。また、フィードバックも属人的になりがちという課題もある。こうした課題をAIを活用して解決することで、営業の生産性向上を後押ししていきたい」と説明する。

  • AI営業ロールプレイングの開発を担当したSansan 技術本部 研究開発部 SocSciグループの中尾遼太氏(右)と、Sansan 技術本部 研究開発部 SocSciグループグループ マネジャーの西田貴紀氏(左)

入力された情報を基にAIが業界動向や有価証券報告書を分析し、自動で商談相手の性格やプロフィールを生成して顧客役を務める。次の商談日程を取り付けることが演習のゴールとして設定されており、ユーザーは日程調整の許諾を得るまで自由に質問や提案を行うことが可能だ。

演習の最後には、会話を通してユーザーが商談相手との信頼関係構築から提案までをどのように行えたかといったまとめや全体を通して「良かった点」「改善点」「獲得した商談ですべきこと」などが細かくフィードバックされる。また、AIが顧客役として設定した人物像の「名前」「年齢」「性別」「部署・役職名」「性格」「業務上での悩み」「直近・中長期での課題」なども開示されるほか、過去に実施したロールプレイングの内容も確認できるとのことだ。

  • フィードバックのイメージ

  • AIが設定した想定顧客のイメージ

    AIが設定した想定顧客のイメージ

中尾氏は「AIとの対話であるため、うまく対応できなくて恥ずかしいなどという感情が生まれづらく、もくもくとトレーニングに打ち込めるといった効果も想定される。すでに、当社内で新入社員の一番最初の研修として活用している」と説明。

実装されたばかりの機能ではあるが、すでにユーザーから「社員同士のロープレより、リアルで良かった」「変に優しくないし、変に厳しすぎもしない」「フィードバックもクオリティが高く、人よりAIの方が適任かも」といった声も寄せられているという。

Sansanは今後も、社員の業務におけるAI活用推進と、プロダクトのAI活用をより一層強化していく方針だ。Sansan 技術本部 研究開発部 SocSciグループグループ マネジャーの西田貴紀氏は「今回発表したAI営業ロールプレイングについては、現状はテキストベースのみのやりとりだが、今後は音声でやりとりできるように検討していく」と展望を示す。