NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)は1月8日、フジテレビジョン(以下、フジテレビ)が中長距離ロードレース中継で使用する距離計システムにMobile GNSSを導入し、2024年12月30日にフジテレビで放送された富士山女子駅伝(全日本大学女子選抜駅伝競走)の中継において運用を開始したことを発表した。

Mobile GNSSの導入においては、NTT Comとフジテレビが協力してテストを重ね、高い精度の位置データ測位を維持しながら中継用バイク機材の小型軽量化を実現したとのことだ。

  • マラソン中継のオンエア画面

    マラソン中継のオンエア画面

実証の概要

フジテレビは駅伝やマラソンの番組中継において、中継バイクの機動性を生かした撮影範囲の拡大に取り組んでいる。その一方で、距離計システムをはじめとする中継バイクへの積載機材量が増加し、機材の小型軽量化による積載効率の向上や中継バイクの安全性向上が求められていたという。

そこで両社は、富士山女子駅伝において中継バイク2台にMobile GNSSを用いた距離計システムを搭載し、既存の距離計システムとの並行運用を実施した。距離計システムで得られた位置情報は、番組放送内の走行距離表示や、選手間の距離差測定などに活用された。

  • Mobile GNSS導入の例

    Mobile GNSS導入の例

Mobile GNSS導入効果

中継バイクに設置する既存の距離計システムは複数の機器を使用するため、約5.3キログラムの総重量だったが、Mobile GNSSを使用することで距離計システムの総重量を約0.7キログラムまで低減した。

これにより、機材設置量に制限がある中継バイクにおいて機材の小型軽量化を実現するとともに、中継バイクの安全性向上にも寄与したという。Mobile GNSSはリアルタイムで高精度な位置情報を測位し送信できるため、より精度の高い位置情報の伝送が可能となっただけでなく、距離計システムのコストダウンにも貢献した。

さらに、Mobile GNSSは多様な通信インターフェースを備え、測位・送信レートや送信データフォーマットも自由に設定変更が可能なため、フジテレビにとって必要な通信プロトコルに対応した構成を実現できたとのことだ。

  • 既存距離計システムとMobile GNSSのサイズ比較

    既存距離計システムとMobile GNSSのサイズ比較

  • バイク搭載のイメージ

    バイク搭載のイメージ