富士通は12月2日、AWS(Amazon Web Services)と3年間のグローバルな戦略的協業契約(SCA)を11月29日に締結したことを発表した。この協業は、これまで両社が締結していたモビリティ、金融、小売分野における協業を全業種へと拡大するものだという。
富士通は今回の協業を通じて、複数業種で培ったシステム構築のノウハウや、社会課題を起点とした事業モデル「Fujitsu Uvance」のオファリングを、AWSのクラウドサービスと連携する。最適化されたアーキテクチャを採用することで、より多くの顧客に対し経営や業務課題を解決するDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援する。
また、AWSによるトレーニング支援により、富士通のAWS認定資格保有数を3年間で現状の約7000件から1万2000件規模へと拡大するという。これによりデリバリー体制を強化し、両社の共同提案強化による受注を含め800件以上の受注獲得を目指すとのことだ。
AWSのクラウドサービスへの移行支援を強化
2024年3月に発表したレガシーモダナイゼーションの協業で戦略的ターゲットとしたメインフレームやUNIXサーバ上で稼働する基幹システムをはじめ、さまざまなシステムのAWSクラウドサービスへの移行支援を両社で強化する。
柔軟かつ高品質なインフラの構築を支援する「Fujitsu Cloud Transformation Service」、クラウド運用最適化を支援する「Fujitsu Cloud Managed Service」、AWSのソリューションアーキテクトによる富士通向け技術支援体制により、クラウドに最適化されたシステムインテグレーションと運用支援サービスをワンストップで提供するという。
「Fujitsu Uvance」オファリングとAWSの連携による付加価値向上
富士通は持続可能な社会を目指す「Trusted Society」や顧客のデータドリブン戦略を支援する「Digital Shifts」を中心に、AWSのクラウドサービスと連携した「Fujitsu Uvance」のオファリング開発について、付加価値の向上やグローバルでの提供拡大を目指す。
その一例として、「Digital Shifts」のオファリングと富士通のAIサービス「Fujitsu Kozuchi」、およびAWSの生成AIサービス「Amazon Bedrock」の連携を開始。データとAIを活用するオペレーションプラットフォーム「Fujitsu Data Intelligence Premium」によって工場の生産ラインデータを分析し、AIを活用したリスクの予兆検知や過去事例に基づく対応策の提案、設備保全業務のノウハウ伝承を目的とする過去の点検レポートを再利用可能な構造化データへの変換など、業務知識と生成AIを融合して生産プロセス効率化や稼働率向上を支援するという。
AWS認定資格の保有者育成によるAWSのクラウドサービスを活用したデリバリー体制の強化
AWSのクラウドサービスを活用したシステム開発を担当する富士通のエンジニアを対象に、約7000件のAWS認定資格保有数を3年間で1万2000件規模へと拡大。AWSのクラウドサービスにおけるシステム開発のプロフェッショナルを増強することにより、DXを支援するシステムのデリバリーを強化。これにより、両社の共同提案強化による受注を含め、過去3年間の実績から倍増となる800件以上の受注を目指す。