NECは11月27日、研究開発と新規事業における戦略説明と最新技術をデモ展示で紹介する「NEC Innovation Day 2024」を開催した。
会見にはNEC 執行役 Corporate EVP 兼 CTOの西原基夫氏とCorporate SVP 兼 AIテクノロジーサービス事業部門長の山田昭雄氏が登壇し、「NECの成長を牽引する先端技術開発と新規事業領域の拡大」というテーマでNECのイノベーション創出の体制と研究開発の強み、現行事業と新規事業の取り組みについて語った。
NECのイノベーション創出の体制と研究開発の強み
まず西原氏は「NECのイノベーション創出の体制と研究開発の強み」というテーマで、NECの組織体制の紹介やNECのイノベーション創出の全体像を紹介した。
「私が所属しているグローバルイノベーションビジネスユニットでは、コーポレートの研究開発と新規事業開発、知的財産の戦略管理と新規事業としてのヘルスケア・ライフサイエンス事業を行っています」(西原氏)
ここで西原氏が紹介した「研究開発」「新規事業開発」「知的財産」といった強みを、現事業である「ITサービス事業(国内IT事業/海外IT事業)」「社会インフラ事業(テレコムサービス/航空・宇宙・防衛)」に提供しているという。
特に西原氏は、同社が2024年5月に発表した顧客の変革を成功へ導く価値創造モデルである「BluStellar」への対応が非常に重要であることを強調していた。
さらに「知財ライセンス」「DDX(データドリブンDX)事業」「ヘルスケア・ライフサイエンス」「金融・SaaS・AgriTech」といった、次期中期計画で注力していくとしている領域に関しても「研究開発」「新規事業開発」「知的財産」の強みを提供していくという。
cotomiの性能強化とAIエージェントのリリース
続いて登壇した山田氏は、同氏の所属している「AIテクノロジーサービス事業部門」での取り組みとサービス展開について紹介した。
AIテクノロジーサービス事業部門は、市場探索から研究成果の製品化/事業化、Go to marketまでを一貫して推進し、生成AI事業を垂直で立ち上げるために設立された部門。
高度な専門業務の自動化にフォーカスし、自社開発の高性能生成AIモデルを核とした施策で、安心安全な利用環境を提供している。
サービス展開については、業種ソリューションへの生成AI活用に、顧客体験向上・業務効率化を目指しており、病院DXソリューション「MageOak/iS」を皮切りに、製造業向けPLMソリューション「Obbligato」で顧客業務プロセスの改革に貢献している。
さらに11月25日には、さくらインターネットと生成AIプラットフォーム領域で協業することを発表しており、信頼性と安全に配慮した生成AIサービス需要にますます貢献していきたい構えだ。
加えて、同社はNEC Innovation Day 2024が開催された11月27日に、高度な専門業務の自動化による生産性向上の実現を目指し、生成AIをはじめとするさまざまなAIやITサービスなどを連携させ、業務を自律的に遂行するAIエージェントを2025年1月から順次提供することを発表した。
今回提供されるNECのAIエージェントでは、ユーザーが依頼したい業務を入力すると、NEC開発の生成AIである「cotomi」が自律的にタスク分解し必要な業務プロセスを設計。さらに、それぞれのタスクに最も適したAIやITサービスなどを選択し、業務を自動で実行する。これにより、社内外の情報を包括的に検索し、意思決定が求められる業務のプロセスを、自動化するというサービスだ。
また「cotomi」についても性能強化を行い、日本語のLLM(大規模言語モデル)ベンチマーク「Japanese MT-Bench」において、ClaudeやGPT-4、QwenなどのグローバルトップレベルのLLMに匹敵する精度を達成したことを発表した。
Qwenの6倍、GPT-4oの2倍の速度を実現し、推論速度と高精度を両立させることに成功。この性能強化により、NECは生成AIを用いた高度な専門業務の自動化を実現していきたい考えだという。
「NECは『迅速な価値サービスを提供するための体制づくり』『継続的に新しいサービスを導入するための社内外における最先端のプラクティスの実証』『業務プロセス改革を加速していくための新機能の継続的な導入』を通して、社会のあらゆるシステムにAIを導入し、住みやすい社会を実現する『NEC AI Agent is Everywhere』に取り組んでいきます」(山田氏)
NECの最新製品を紹介
ここからは、デモ展示で紹介されていたNECの最新技術・製品の中から「フォーネスビジュアス検査」「顔・虹彩マルチモーダル生体認証」の2つを紹介する。
少量の採血で疾病リスクを予想する「フォーネスビジュアス検査」
フォーネスビジュアス検査は、「早期発見をもっと早く」というテーマを元にしたNECのヘルスケア・ライフサイエンス領域のサービスで、約7000種類の血中タンパク質を一括解析することで、将来、認知症などの病気になる確率を判定する検査だ。
「20年/5年以内の認知症」「4年以内の心筋梗塞・脳卒中」「5年以内の肺がん」「4年以内の慢性腎不全」といった疾病リスクを予測することができる。
また、糖尿病の発症リスクと関連性が高い耐糖能、肝硬変の発症リスクと関連性が高い肝臓脂肪など一般的な血液検査では容易に知ることができないさまざまな体の状態も知ることができるという特徴を持っている。
2024年6月には、大和証券グループと連携し、ダイワのラップ口座契約者に対して、フォーネスビジュアスを特典として付与する取り組みも始まっている。
コンパクト&高性能 顔・虹彩マルチモーダル生体認証
NECは11月21日、小型で幅広い用途へ展開可能な顔・虹彩マルチモーダル生体認証技術を開発したことを発表した。
NECでは、これまでも顔と虹彩を同時に認証するマルチモーダル生体認証によって高い精度を実現してきたものの、2つのカメラが必要なため装置が大型化する傾向があり、ユースシーンが限定されていたという。
この課題に対して2つのカメラを1つに集約し、装置を小型化に成功したのが同サービスで、小型カメラモジュール化により、POSレジやATMなどへの組み込みのほか、タブレット端末などの取り付けて持ち運ぶことが可能になったという。
今後は同技術の開発・実証を進めることで、金融、リテール、エンターテイメント業界の決済、入退管理などの用途を見据えて、2026年内の提供を目指していくという。




