マネーフォワードは11月27日、オンラインで記者説明会を開き、SaaS(Software as a Service)型社宅管理システム・サービスを提供するシャトクの発行するすべての株式を取得し、グループ会社化することを決定したと明らかにした。
福利厚生賃貸とは
シャトクは2018年1月に設立し、中小・中堅企業向けのSaaS型社宅管理システム「シャトク福利厚生賃貸」を提供。福利厚生制度としての社宅制度導入をシステム面と仕組みづくりからサポートするサービスとなっている。
福利厚生賃貸とは、従業員が契約している賃貸物件を法人名義に変更することで、従業員の手取り収入を増やすとともに、企業のコスト削減を実現できるというもの。
シャトク 代表取締役の千葉史生氏は「例えば月給40万円、家賃10万円の場合、給料に家賃の一部を現物支給として置き換える。そうすると、社宅にまつわる法律のメリットを受けることができ、そもそも会社が努力して現物支給するため、一部は非課税でも良いということになっている」と説く。
続けて、同氏は「そのため10万円のうち70%は非課税になり、結果的に33万円に対して税金がかかるため社会保険料や住民税、所得税などが削減され、1万8000円の手取り増加と法人としては社会保険の負担が下がった分の1万円のコスト削減につながる。国内の外資系企業がこの制度を利用している場合が多い」と話す。
一方、マネーフォワード カンパニー執行役員 マネーフォワードビジネスカンパニー CMO(最高マーケティング責任者)兼HRソリューション本部 本部長の駒口哲也氏は「当社は『お金を前へ。人生をもっと前へ。』のミッションのもと、さまざまな事業領域、地理的な拡大を進めています。これには、グループジョインや出資などを行っている。今回、注力領域の1つである人事労務領域において、シャトクがジョインすることになった」と経緯を説明した。
今回のグループ会社化により、福利厚生に関するサービスラインナップを拡充し、バックオフィス業務の効率化にとどまらず、手取り収入の向上をはじめとした従業員の働く環境の向上をサポートしていく。
グループ会社化に伴い期待されるシナジー効果
グループ会社化によるシナジーとしては、(1)両社のサービス連携によるユーザー体験の向上、(2)クロスセルの推進を挙げている。
(1)では、シャトク福利厚生賃貸と「マネーフォワード クラウド給与」と連携することで、従業員別の給与控除を自動的に行うことが可能になるほか、「マネーフォワード クラウド会計」「同クラウド会計Plus」との連携により、仕訳業務を効率化。
今後は、API連携などによるサービス情報連携も行い、「マネーフォワード クラウド」とシャトク福利厚生賃貸の併用によるUXを実現する。
(2)については、「マネーフォワード クラウドERP」の展開により、中堅企業や上場準備企業へ顧客基盤を拡大していることに加え、シャトク福利厚生賃貸は中小・中堅企業や成長スタートアップ企業への導入が進んでいる。
そのため、今後は両社の有する顧客基盤を活用したマーケティングセールスやサービス連携の強化により、クロスセルを推進して事業の成長を加速させていく考えだ。