【専門家の見解も】消費者庁、大正製薬のサプリに措置命令 商品として初のステマ処分

消費者庁は11月13日、大正製薬に対し、景品表示法に基づく措置命令を行った。同社が供給するサプリメント「NMN taisho」の表示に、景品表示法違反があったという。同法第5条第3号(ステルスマーケティング告示)の該当が認められたとしている。ステマに対する措置命令は3件目。”商品(健康食品)”としては、ステマによる初の処分となった。

「NMN taisho」は2023年3月に発売した商品。販売個数は1万5000個で、売り上げは約4億円(今年4月30日時点)だとしている。価格は単品購入の場合、1箱税込3万2184円(定期購入などの購入条件によって価格は変動)だという。

表示媒体は、大正製薬の自社通販サイト「大正製薬ダイレクトオンラインショップ」。大正製薬は、広告代理店経由で、インフルエンサー3人に、条件を提示して同サプリに関する投稿依頼を行ったという。インフルエンサーには同サプリ1箱を無償提供し、投稿後には約1万円の報酬を支払ったとしている。

インスタグラムの投稿にはPRの表記があったため、インスタグラムの投稿自体をステマと認定した事案ではないとしている。

「ステマ表示」とされたのは、依頼したインフルエンサーのインスタグラムの投稿を一部抜粋して、自社ウェブサイトに転載した際、PR表記のない表示を行ったことだという。

自社サイトの表示は、大正製薬が当該第三者に対して依頼した投稿であることを明らかにしておらず、表示内容全体から一般消費者にとって、「事業者の表示」であることを判別することが困難であるとして、景表法違反に当たると判断したとしている。

消費者庁が同社に行った措置命令の概要としては、①景表法違反であることの一般消費者への周知徹底 ②再発防止策の実施と、役員・従業員への周知徹底 ③将来不作為(今後、同商品・類似の商品について、本件表示と同様の表示を行わないこと)――の3点。東京神谷町綜合法律事務所の成眞海弁護士は、「ステマの措置命令だが、今回の事例はいかにもどの事業者もやっていそうな表示で、消費者庁の強い姿勢を感じる」と指摘する。

薬事法広告研究所の稲留万希子氏は、「ステマ違反で2件目の処分となった、ライザップ(chocoZAP)のケースと非常に似ているように思える。ステマ規制では違反である表示方法だが、まだ多くの事業者が違反であると理解せずにやっている手法なので、注意が必要だ」としている。