カナダ政府はこのほど、TikTokのカナダ事業会社である「TikTok Technology Canada, Inc」に対して同国での事業の解散を命じたと発表した。「国家安全保障上のリスクに対処する」ことがその理由とされており、の国家安全保障に損害を与える可能性のある外国投資の審査を認める(Investment Canada Act)に基づいて決定されたという。

  • Government of Canada orders the wind up of TikTok Technology Canada、Inc. following a national security review under the Investment Canada Act

    Government of Canada orders the wind up of TikTok Technology Canada, Inc. following a national security review under the Investment Canada Act

TikTokアプリの利用自体はブロックされない

TikTokは中国のByteDance社が提供している動画共有サービス。中国の国家安全保障法では、組織や国民に対して情報収集への協力を義務付けている。そのため中国外の国々では、この法律に基づいてTikTokユーザーの個人情報や機密情報が中国政府に流出することが懸念されている。

カナダ投資法では、「カナダの国家安全保障に損害を与える可能性のある外国投資の審査」が認められている。TikTokへの事業停止命令は、この法律に基づく審査によって決定された。声明では具体的な執行手段や期限などについては明らかにされていない。

カナダ政府は、国民が特定のソーシャルメディアやプラットフォームを使用するのは個人の選択であり、アプリ自体へのアクセスや、新しいコンテンツの作成をブロックするつもりはないと説明している。その一方で、ソーシャルメディアやアプリケーションの使用に伴うリスクを評価することは重要だとして、自分の情報が特に外国の主体によってどのように保護、管理、使用、共有される可能性があるか評価するように促した。

TikTokは法廷で戦う構え

AP通信の記事「Canada orders TikTok's Canadian business to be dissolved but won't block app」によれば、カナダ政府による解散命令に対して、TikTokは法廷で異議を申し立てる姿勢を明らかにしたという。同社は「カナダ事業所の閉鎖は地元での数百の雇用喪失を意味する」と指摘している。

なお米政府は、2025年1月19日までにTikTokを米国企業に売却しなけ国内での利用を禁止するという法案が択肢を与える法律に署名している。TikTokはこの法案を無効にする訴訟を起こしているため、売却が実施されるかは現段階では分からない(参考記事:TikTok禁止法は合衆国憲法違反 - TikTokとByteDanceが米政府を提訴 | TECH+(テックプラス))。