パナソニック ホールディングス(HD)が10月31日に発表した2024年7〜9月期連結決算(国際会計基準)は、純利益が前年同期比35%増の1183億円だった。世界中で普及が広がる生成AI関連の事業が好調に推移した。一方、上期(4〜9月)でみると、純利益は前期に液晶子会社の解散に伴う税金費用の減少があった反動もあり、34%減の1889億円だった。
7〜9月期の売上高は、前年同期比2%増の2兆1296億円だった。主力製品である車載電池の需要低迷が継続し、車載向けシステムの中国での販売不振などマイナスな要因もあったが、国内家電や電材、法人システムが堅調に推移した。
31日の記者会見に登壇した代表取締役 副社長執行役員 グループCFO(最高財務責任者)の梅田博和氏は「生成AI関連の販売が好調だ。生成AIサーバ向け製品やデータセンター向け蓄電システムが大きく成長している」と説明した。
7〜9月期の営業利益は29%増の1322億円だった。車載電池事業に対する米国インフレ抑制法(IRA)に係る補助金の計上が、同四半期の営業利益を226億円押し上げた。
IRAは、米国における過度なインフレ抑制とエネルギー安全保障や気候変動対策の迅速な推進を目的に、米国でのエネルギー政策の産業振興を推進している企業に補助金を適用する法律のこと。パナソニックHDは米国のEV(電気自動車)普及のために、補助金を車載電池事業の投資に充てる。
IRA補助金の現金化手段は、「法人税の還付」、「直接給付」、「第三者への権利売却」の3つがあるが、同社は2024年度分の補助金を「直接給付」で現金化する予定だ。米国カンザス州に新工場の建設を決定しており、2024年度中に米テスラ向け電池の量産開始を行う予定だ。
なお、2025年3月期通期の連結業績見通しは据え置いた。売上高は前期比1%増の8兆6000億円、営業利益は5%増の3800億円、純利益は30%減の3100億円を見込む。