富士通は10月23日、人とAIが創造的に活動する世界の実現を目指し、AIが難易度の高い業務を自律的かつ人と協調しながら推進できるAIサービス「Fujitsu Kozuchi AI Agent」を開発し、「Fujitsu Uvance」のオファリングであるオールインワンオペレーションプラットフォーム「Fujitsu Data Intelligence PaaS」を通じてグローバルに提供を開始することを発表した。

まずは、損益や商談に関する打合せにAIが参加して適切な情報の共有や施策を提案する、会議AIエージェントを提供する。また、生産管理や法務などの業務に特化したAIエージェントを2024年度中に順次拡充するほか、Fujitsu Uvanceの「Work Life Shift」をはじめとするオファリングにも組み込んで展開するとのことだ。

サービス開発の背景

近年は幅広い業務への生成AIの活用が進む一方で、業務適用におけるAIの構築には専門知識が必要であり、多大な時間とコストを必要とする。さらには、単一のAIモデルが解決できるのは問題の一部に限定される例が多く、期待通りの結果に至らない課題も残されている。

富士通はこれらの課題解決に向けて、AIが自律的に考えて組織やプロジェクトの一員として現場業務に参加し、適切な情報の共有や施策を提案することで人々がAIから新しい知見やひらめきを得て創造的な活動を実現できるFujitsu Kozuchi AI Agentを開発したとのことだ。

Fujitsu Kozuchi AI Agentの概要

今回開発したFujitsu Kozuchi AI Agentは、人々の抽象的な会話から独自の処理ロジックによって課題を抽出して解くべきタスクを生成する。次に、それらのタスクを解くためのプランを作成し、プランを実行するためのAIを複数選定。選定するAIには同社のLLM（Large Language Models：大規模言語モデル）「Takane」や、機械学習モデルを短時間で生成する「Fujitsu Kozuchi AutoML」をはじめとして、他社のAIなども提案するという。

Fujitsu Kozuchi AI Agentは選定した各AIにタスクの実行を指示すると同時に、それぞれのAIから得た実行内容に基づいて課題解決策を考え、適切なタイミングで人々に明示し連携を図る。

例えば会議AIエージェントの場合には、必要な会議に参加して「アジア地域の売上が昨年の半分になっているらしい」といったような会議参加者の発言を踏まえて、データ分析を行うAIを複数選択し、実行を指示する。

その結果、会議AIエージェントが「昨年度および今年度の地域ごとの4月から9月時点の売上額を棒グラフで提示します。グラフを見ると分かる通り、他の地域はおおむね昨年と同等または微増となっていますが、アジア地域だけは昨年比54%と、ほぼ半減していることが読み取れます」といった回答を作成する。会議のスムーズな進行や生産的な結論の導出をサポートし、会議の生産性向上に貢献するとのことだ。