情報処理推進機構(IPA)はこのほど、OracleがJavaアプリケーションの開発および実行環境「Java SE」のセキュリティ更新プログラムをリリースしたと伝えた。これは四半期ごとに提供されている「Critical Patch Update」の一部としてリリースされたもので、8件の脆弱性の修正が含まれている。
アップデート対象のプロダクト
今回、Oracleがリリースしたプロダクトおよびバージョンは以下のとおり。
- Oracle Java SE 23
- Oracle Java SE 21.0.4
- Oracle Java SE 17.0.12
- Oracle Java SE 11.0.24
- Oracle Java SE 8 Update 421-perf
- Oracle Java SE 8 Update 421
- Oracle GraalVM Enterprise Edition 21.3.12
- Oracle GraalVM Enterprise Edition 20.3.16
これらはオープンソースで開発されている「OpenJDK」をベースとしたJava開発・実行環境だが、Oracle Java SEがOpenJDKとほぼ同一の機能にサポートが付いているのに対し、Oracle GraalVMはOpenJDKをベースに独自のJava仮想マシンを搭載して提供されている点が大きく異なる。IPAの注意喚起にはOracle Java SEのバージョンのみ掲載されているが、Oracle GraalVMにも同じ脆弱性が含まれる可能性があるので注意が必要。
修正された脆弱性
今回のアップデートでは、次の8件の脆弱性が修正されている。
- CVE-2024-36138
- CVE-2023-42950
- CVE-2024-25062
- CVE-2024-21235
- CVE-2024-21210
- CVE-2024-21211
- CVE-2024-21208
- CVE-2024-21217
このうち、CVE-2024-36138はOracle GraalVMのみが、CVE-2024-21210はOracle JavaSEのみが影響を受ける。その他の6件はGraalVMとJavaSEの両方に影響する。
特に深刻度が大きいのはCVE-2024-36138で、CVSSv3のベーススコアは8.1とされている。この脆弱性はGraalVMが利用しているNode.jsのコードに由来する。Node.jsでは以前に通称「BatBadBut」と呼ばれるコマンド・インジェクションの脆弱性(CVE-2024-27980)が発見され、その修正版がリリースされた。しかし修正が不十分であったことから、対策を回避して攻撃することが可能だった。今回のアップデートはその不十分な対策を修正したものになる。
それぞれの脆弱性と影響を受けるプロダクトおよびバージョンについては、Oracleによる次のページにまとめられている。
なお、Oracle JavaSEに影響を与える(CVE-2024-36138以外の)7件の脆弱性はベースとなっているOpenJDKに含まれるものであるため、Oralce JavaSE以外のOpenJDKベースのJavaディストリビューションも影響を受ける可能性がある。
IPAは、上記のセキュリティ情報をチェックするとともに、必要に応じてアップデートを適用することを推奨している。