みずほFGが楽天カード出資へ協議 「楽天経済圏」との距離をさらに縮める?

楽天の金融再編は中止

 みずほフィナンシャルグループ(木原正裕社長)と楽天グループ(三木谷浩史会長兼社長)が、さらに距離を縮めようとしている。

 2024年9月30日、みずほFGが楽天カードに出資するか否かについて協議することに合意した。出資金額や方法などの詳細は今後の協議で詰めていき、年内の合意を目指す。ただ、みずほFG関係者は、現時点ではあくまでも協議入りの段階という認識で「我々から発信すべきことはない」という立場。

 当初、9月30日には楽天グループが楽天銀行、楽天証券ホールディングス、楽天カードという金融子会社再編の方策を発表することが見通されていた。

 だが、関係者の話を総合すると、上場企業である楽天銀行を核とする金融子会社再編にかかるコストや、今後の楽天グループ内の人事面の連携、相乗効果などを改めて検討。最終的には9月29日の日曜日に「中止」という決断に至った模様。

 楽天グループは、懸案となっているモバイル事業は赤字が続くものの、赤字幅が縮小し、あと一歩で単月黒字というところまで来た。社債の償還に向けた資金的手当も済んだ。通信品質もつながりやすい周波数帯「プラチナバンド」の商用サービスを開始するなど、ようやく光が見えてきたところ。

 だが、財務状況が決して楽観できる状態ではないところに、千数百億円のコストが見込まれる金融子会社再編を進めるかは難しい判断だった。そこで再編は中止。すでに楽天証券に出資を受け入れ、提携関係にある、みずほFGとの協議入りを決断した。

 みずほFGとしては、今回の出資が実現すれば積年の課題を解決する手立てになるかもしれない。他の2メガが強いクレジットカード会社を持っているのに対し、みずほは柱となるカード会社を持たない弱みがあった。

 楽天カードは発行枚数3000万枚超という日本有数のカード会社。この会社と連携することで、みずほFGの事業強化にもつながる可能性がある。