パナソニック エレクトリックワークスは10月1日、蛍光ランプ生産終了予定の発表とライティング事業戦略の説明会を実施した。同説明会には、パナソニック エレクトリックワークス ライティング事業部 事業部長の島岡国康氏と同事業部 プロフェッショナルライティングビジネスユニット ビジネスユニット長の熊澤龍也氏が登壇。
2023年水銀に関する水俣条約第5回締約国会議(COP5)にて2027年末の蛍光灯の生産および輸出入禁止が決定したことに際し、照明業界は現在転換点を迎えていることを説明。そうした中、法人向けから一般顧客向けまで幅広く照明を展開している、同社のライティング事業の今後の戦略について語った。
2027年に蛍光灯の生産終了へ
蛍光ランプは1951年に販売開始されてから、住宅や学校、オフィスなどさまざまな場面で使用されてきた。2009年には省エネ性能が高いLED照明は発売され、徐々に切り替えが進んでいる。
そして今回、2023年水銀に関する水俣条約第5回締約国会議(COP5)にて2027年末の蛍光灯の生産および輸出入禁止が決定した。直管と丸管(非直管)に関しては2027年12月末までに、コンパクト形に関してはそれよりも1年早い2026年12月末までを期限として、製造・輸出入が禁止される。
この発表を受け、日本の蛍光ランプのリード企業であるパナソニックは、直管と丸管(非直管)に関しては2027年9月末までに、コンパクト形に関しては2026年9月末までを期限として、生産を終了することを発表した。なお、生産終了の1年前を目途に生産数量の見極めを開始するという。
また生産終了に伴い、同社では「蛍光灯器具ストックのLEDリニューアル提案」を推進していく方針であることを発表した。
島岡氏は、「蛍光灯器具のLED化には、器具ごと交換または空間演出リニューアルを提案する」と説明。11月に発売予定の新無線照明制御システム「LiBecoM」を紹介した。
また、LED化が進まない要因の1つでもある「取り換えに時間がかかる」という課題を解決するため、省施工商品で施工時間の短縮・施工負担軽減に貢献する方針であることも説明した。パナソニックの「ハヤワザ リニューアル」というサービスを活用することで、施工時間の55%を削減。より多くの件数の施工を可能にするという。
また蛍光ランプ生産終了の発表を受け、同社は10月1日からLEDリニューアル提案のコンテンツをまとめたポータルサイトを立ち上げた。ここでは、「蛍光ランプ生産終了予定について」「蛍光灯器具の耐用年限について」「LED化メリットについて」「おすすめのLED照明器具の提案」などが掲載される。
環境に配慮した「新iD」シリーズ
加えて、同会見では、施設向け照明の主力製品である一体型LEDベースライト「iD」シリーズを2025年1月にモデルチェンジする予定であることも説明された。
iDシリーズは、蛍光灯の形状にとらわれず、LED照明としての最適設計を目指して2012年から展開されているベースライト。新しいバージョンは、施工性の改善だけでなく、環境配慮にこだわったモデルチェンジとなっており、CO2ゼロ工場である新潟工場から、2025年1月より順次発売される。
新潟工場は、工場の屋根に太陽光パネル3500枚を導入。同パネルによって削減した電気代を原資として、再生エネルギーやJクレジットに活用するといった方法をとることで、2024年度からCO2実質ゼロ化を実現している。
熊澤氏は「蛍光灯の生産終了にあたり、CO2実質ゼロ化を実現した新潟工場の新iDシリーズで社会の環境価値向上にますます貢献していきます」と意気込みを語った。