【株価はどう動く?】日米の政治の動きが株価を左右、バリュー株は内需関連銘柄に注目

中期、短期の二番底を確認する局面

 日本の株式市場では2024年8月5日に「日本版ブラックマンデー」とも呼ばれる大きな下落がありました。今は、この日の3万1156円が、昨年の安値、10月4日の3万487円に対してダブルボトムが本当に入ったのかを確かめる局面にあります。ダブルボトムが確認されれば株価は上昇するというのが相場の波動です。

 もう1つ、前回も指摘しましたが、今年の最高値、7月11日の4万2426円から、8月5日の3万1156円までの下げ幅は1万1270円で、半値戻しが3万7000円近辺です。

 9月2日には3万9080円を付けて突破しましたが、相場の難しいところで、数字的に半値戻しを上回っても、一時的では駄目で継続して上昇しなければならないのです。少なくとも、半値戻し以上の水準で推移することが必要です。

 しかし概して、半値戻しの壁近辺で揉み合った後に〝墜落〟することが多いのです。今回のも、その例に倣った形で、買い方が力尽きてしまいました。

 株価は再び下落し、8月5日の安値に対して、短期サイクルの二番底を探る局面です。前述の昨年の3万487円に対する、8月5日の3万1156円は中期サイクルの二番底です。

 9月9日に3万6000円を割れて、3万5247円を付けましたが、翌10日は前日の安値を下回りませんでした。9日の安値が、8月5日に対する二番底かは、まだ確認できません。どの水準で、いつ二番底を付けるかが読めていないのです。

 この後、9月9日の3万5247円を下回れば、引き続き二番底模索の展開が続きますが、投資家にとっては、この後の読みが重要ポイントです。二番底は株価の悪材料出尽くし、あるいは株価のプラス材料が出て来ないと付けないからです。

 長いスパンの株価の動きを見ると、昨年からの「賃金インフレ相場」、「資産インフレ相場」、「バリュー株底上げ相場」は、23年1月4日の安値、2万5661円が出発点です。そして、今年7月11日の4万2426円まで上げて天井を付け、第一ステージが終わりました。

 普通の日柄で言えば、高値から2ないし3カ月が目処になりますが、「3月またがり60日」ならば9月中旬近辺に二番底を付けて、転換点となる可能性があります。その次の日柄は3カ月で10月中旬です。この場合、調整局面が続き、自民党総裁選後に二番底を形成して、新しい上昇相場が始まる可能性があります。

 今後の株価の行方を予測する上で大事なポイントは、第1に自民党総裁選を経て、誰が首相になるかです。景気対策や財政出動を推進する人であれば株価は上がりますし、規制、増税派であれば下がります(9月27日、石破茂・元幹事長が自民党総裁に選出された)。

 9月中旬までに二番底が確認できなければ、9月27日の自民党総裁選が終わった辺りで二番底が入る可能性もあります。

 もう1つ、FRB(米連邦準備制度理事会)は9月にも利下げをする可能性があり、実行されれば日本のとの金利格差が縮小します(9月18日のFOMCで0.5%の利下げを決定)。ですから今後は、緩やかな円高となるでしょう。

 最近、為替は140円から160円のゾーンで動いていましたが、120円から140円のゾーンに入ってくるかを見極めたいと思います。その場合、これまで円安、脱デフレ、インバウンドなどで上昇した株価が、9月を転機として調整色を強める可能性があるからです。昨年4月以来、バリュー株相場を牽引してきた海運、鉄鋼、商社株が調整するかどうかです。

 今後も日本経済はデフレ脱却を目指していますから、バリュー株の底上げ相場は続くと思いますが、銘柄は変わるでしょう。海運、鉄鋼、商社は9月配当落ちくらいから、一旦小休止、押し目となるかもしれません。

 では、どの銘柄に注目すべきか。1つは緩やかな円高となれば、今まで円安で打撃を被っていた食品や外食など輸入産業が好転します。例えば水産物を輸入している、くら寿司(2695 東証PRM)や、西武ホールディングス(9024 東証PRM)のような不動産、ホテル、観光など内需関連の底上げ相場になる可能性があります。

 11月5日の米大統領選の行方も重要です。民主党のカマラ・ハリス氏ならば、同じく規制、増税路線の小石河連合がいる内閣とは相性がいいと思います。不思議なことに日米は同じようなカラーの政権になることが多いのです。

 また直近、日銀の政策委員が利上げに言及する局面が増えており、物価目標2%に向けて急いでいるように見えますが、今まさにデフレを脱却しようかという時に、急いで利上げをする必要はありません。時間をかけて徐々に上げていくべきです。

 財政再建も同様で、財政赤字は問題ですが、急いで削減しようと財政縮小、増税をしたら大不況に陥ります。

 新政権にも「貯蓄から投資へ」、「資産運用立国」、「資産所得倍増」という岸田政権のレガシーを引き継いで欲しいと思います。そ