弥生は9月24日、従業員100人以下の企業における給与計算担当者を対象に、令和6年度「年末調整」に関する意識調査の結果を発表した。定額減税の具体的な影響を把握しているという人は3割であるが、一方で7割以上の人が業務負担の増加を懸念していることが明らかになった。

令和5年分の年末調整は6割以上の担当者が残業増加

調査の結果、令和5年分の年末調整における税額計算では全体の67.7%がソフトを利用し、そのうち29.8%がクラウド型のソフトを利用していることが分かった。また、従業員にどのように申告書類の配布と回収を行ったかを聞いたところ、給与計算ソフトの利用が42.8%、国税庁の年末調整ソフトの利用が9.2%であり、5割以上がソフトを活用していることが明らかになったという。

令和5年分の年末調整については、64.5%の担当者が「残業が増加した」と回答。10時間以上残業増加と答えた人は31.1%に達し、年末調整時の負担の大きさが浮き彫りとなっている。

  • 年末調整の時期は通常時に比べ残業時間が増加している(資料:弥生)

    年末調整の時期は通常時に比べ残業時間が増加している(資料:弥生)

負担に感じる業務は「最新の法令の把握(34.7%)」が最も多く挙げられ、次いで「従業員への各種申告書の配布・回収(30.6%)」だった。法改正に伴う業務負担や、従業員からの問い合わせ対応、提出書類の確認作業などが大きな負担とされている。

定額減税の内容を把握している担当者は3割未満

昨年度まで紙で年末調整の申告書を配布および回収していた企業のうち、今年度からソフトを利用してPCやスマートフォンによる配布・回収を行う予定である、または今後Web上での配布・回収を実施したいと答えた担当者は43.1%。特に従業員数が多い企業ほどWeb対応への意向が強く、30人以上の会社では過半数が、50人以上の会社では6割以上がWeb対応を検討しているとのことだ。

今年度は年末調整時にも定額減税(年調減税)の影響がある。対象者に定額減税の認知について確認したところ、具体的な影響を把握していると回答した人は全体の29.1%であり、残りの約7割は具体的には知らない、または今回の調査で初めて知ったと回答。

  • 具体的な影響を把握している人は約3割(資料:弥生)

    具体的な影響を把握している人は約3割(資料:弥生)

その一方で、定額減税により年末調整の事務負担が増加すると考えている担当者は73.7%にのぼり、年末調整に対する不安が広がっていることがうかがえる。定額減税の開始による月次の給与事務の負担について、負担が増えたと回答した担当者は69.1%に達しており、定額減税が年末調整業務の負担につながると感じる原因にもなっていそうだ。