Sansanは9月12日、同社が運営するインボイス管理サービス「Bill One」が経理担当者1000人を対象に実施した、請求書発行に関する調査結果を発表した。71%の企業が請求書を主に紙で発行しており、そのうち75%がコストや手間などの課題を感じていることが明らかになった。
この調査は、10月1日に定形封書の郵便料金が84円から110円に引き上げられることを受け、企業での請求書発行の現状を把握するために行われたもの。
請求書発行業務に携わる1000名の経理担当者に対し、自社で発行している請求書は紙と電子どちらの割合が高いか聞いたところ、企業の71.0%が依然として「主に紙で請求書を発行」していることが明らかになった。また、「主に電子で発行している」企業は18.0%であった。
企業規模別では、従業員100名以下の企業では79.1%、101~1000名の企業では64.0%、1001名以上の企業では48.7%が「主に紙で発行している」と回答し、従業員が少ない企業ほど紙の請求書を発行している割合が高いことがわかった。
業界別でみると、「主に紙で請求書を発行している」割合が最も高かったのは運輸・物流業界(80.0%)、次いで建設・不動産業界(78.7%)、食品・小売・飲食業界(76.7%)。これらの業界は人手不足感が強く、業務効率化が求められているため、紙のやりとりによる手間を改善する需要は今後高まっていくことが予想される。
続いて、紙の請求書を発行している企業に対し課題があるか尋ねたところ、75.2%が「課題を感じている」と回答した。最も多かった課題は「郵送料や印刷費、封筒代などのコスト」(57.2%)で、次いで「請求書の印刷や発送準備の手間」(46.1%)、「配送遅延による到着遅れのリスク」(37.7%)が挙げられた。
自由回答では、「直近で郵便料金の値上げがあるので、郵送から電子請求書への移行が喫緊の課題だ(運輸・物流業)」、「今後の郵便代値上げの対策が出来ていない(金融業)」、「もうすぐ切手代が一気に値上がりするので負担(建設・不動産業)」といった声が寄せられた。
コスト以外の課題としては、「郵便事情の変化により届く日数が計算できない(食品・小売・飲食業)」「天候等により郵便配達の遅れが生じた(金融業)」といった物理的な不確実性や手間が指摘された。また、「相手に間違いなく郵送できたかの確認が取りにくい(IT・情報通信業)」、「届いた、届かないの水掛け論になるとどちらが正しいのか分からなくなる(運輸・物流業)」など、取引先とのコミュニケーションに課題を感じているという回答も挙げられた。
紙の請求書を発行している企業に対して、紙の請求書を電子に切り替えたいか尋ねると、「電子に切り替えたい」が29.8%、「どちらかといえば電子に切り替えたい」が42.9%と、合計72.7%が電子への切り替えを希望していることがわかった。一方で、紙の請求書を発行している人の75.2%は課題を抱えており、そのうち72.7%が紙から電子請求書への切り替えを希望していることがわかった。