大和ハウス工業とキヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)は9月9日、物流施設におけるトラックドライバーの荷待ち・荷役時間を可視化し、改善を支援するシステムを開発した。11月1日から大和ハウス工業が開発したマルチテナント型物流施設「DPL平塚」(神奈川県平塚市)において、システムの効果を検証するための実証実験を開始する。その後、2025年4月以降に大和ハウス工業が展開する物流施設「DPL(ディーピーエル)」への本格導入を目指す。

  • 「DPL平塚」の外観

    「DPL平塚」の外観

実証実験の背景

2023年6月に経済産業省と農林水産省、国土交通省はトラックドライバーの人手不足により懸念される物流の「2024年問題」に対応するため、荷主事業者などに向けたガイドラインを公開。ガイドラインでは、荷主事業者がトラックドライバーの荷待ち・荷役時間を把握し、その時間を2時間以内(努力目標1時間以内)にすることなどを、必要な事項として定めている。

大和ハウス工業は、全国各地で物流施設の開発を手がけており、これまでに332棟、総延床面積約1295万平方メートル(複数の企業テナントが入居できるBTS型物流施設、マルチテナント型物流施設)を開発してきた。

2018年からは同社が開発する物流施設において「トラックの入場予約システム・オンラインチェックインシステム」が利用可能な環境を用意し、荷主事業者とその物流委託会社となるテナント企業に対して、物流の効率化・自動化に向けた支援を行っている。

実証実験で使用するシステムの概要

今回、実証実験を行うシステムでは、カメラが撮影する映像から物流事業者ごとにトラックを自動検知し、物流施設入場からバースの移動、バースでの荷役作業、物流施設退場までの記録を自動で把握、蓄積する。また、映像をキヤノンMJグループ独自の作業解析技術を用いることで、映像からドライバーの行動をAIが分析し、荷待ちや荷役の時間を計測。

  • 荷待ち・荷役時間を可視化するシステムの概要

    荷待ち・荷役時間を可視化するシステムの概要

これらのデータにもとづき、トラックドライバーが時間を要した点について、動作分析により課題を把握することで、荷主事業者やテナント企業の物流効率化に向けた改善を支援する。当システムにより、物流施設が単に荷物を保管する建物としてではなく、物流業務の効率化に資する役割と機能を持ち、物流の2024年問題にも対応する施設となることを目指す。