内田洋行は9月3日、2024年2024年7月期の決算説明会を開催した。説明会には、代表取締役社長の大久保昇氏が登壇し、決算の説明と今後の展望を語った。

過去最高の当期純利益

2024年7月期の業績結果は、売上総利益が前年同期比7.0%増の477億円となり、当期純利益は前年同期の63億円から10%増の69億円となった。売上総利益、当期純利益ともに過去最高となっている。

売上高については、前年同期比12.7%増の2779億円、営業利益は同10.8%増の93億円、経常利益は同10.6%増の101億。売上高、営業利益、経常利益についても、GIGA(2021年7月期)を除いた最高水準となった。

  • 2024年7月期 業績結果

    2024年7月期 業績結果

好調の理由について、大久保氏は、「米マイクロソフトの『マイクロソフト365』などの企業向け業務クラウドの導入・運用支援を手掛ける情報関連事業が好調だった」と説明した。なお、年間配当は220円(前期は190円)と従来予想から10円増やす結果となっている。

部門別にみると、情報関連事業の営業利益が前年同期比21%増の44億円。民間市場における大手企業によるデジタル分野への投資拡大により、クラウドベースのサブスクリプション型ライセンス契約の大型案件の獲得で高い伸びを維持している。

また人材確保のための企業投資意欲の高まりに合わせて、出社と在宅双方に対応する「ハイブリッドワーク」の働き方を踏まえたオフィスのリニューアル需要が増え、オフィス関連事業の営業利益も前年同期比51%増の16億円となった。

  • セグメント別 第4四半期累計期間 推移

    セグメント別 第4四半期累計期間 推移

「大手民間企業のライセンス契約の大型案件の獲得が引き続き増大したのに加えて、働く環境の改善を図るためのオフィスリニューアル案件も増加しました。また、中堅中小企業では、インボイス制度への情報システム対応案件を順調に獲得。公共市場の教育ICT分野は需要の端境期も、大学分野の案件獲得などで業績を伸ばしています」(大久保氏)

  • 代表取締役社長の大久保昇氏

    代表取締役社長の大久保昇氏

加えて決算のポイントとして、大久保氏は同社グループ自身も将来に向けた投資活動を強化していることを説明した。

「人への投資として、前年を上回る給与のベースアップと処遇改善を実施。事業においてはデータ活用ビジネスのための開発投資を進めています。またグループ全体の情報共有と業務効率の改善を推進するため、グループ共通販売管理システムの投資や、顧客接点強化のためのマーケティング活動を強化していることから、販売費および一般管理費は大きく増加しました」(大久保氏)

より一層継続した改革を進める

次期の連結業績予想としては、売上高3000億円(当連結会計年度比7.9%増)、営業利益100億円(同7.0%増)、経常利益108億円(同6.6%増)を計画。親会社株主に帰属する当期純利益については、前年度において一時的な法人税などの減少といった特別な要因がなくなるものの、72億円(同2.9%増)を予想している。

「民間市場においては、輸出型企業における円安効果による利益増大は収まるものの、企業の実質業績は引き続き堅調に推移することが予想され、大手民間市場でのDX(デジタルトランスフォーメーション)投資を中心としたICT関連ビジネスでは着実な伸長を見込んでいます」(大久保氏)

また人材獲得や育成への意識も高いことから、オフィス投資も継続して伸長するものと想定しているという。

公共市場では、教育ICTにおけるGIGAスクールの更新需要や自治体のシステム標準化需要は一部あるものの、2026年7月期の会計年度に集中することを予測しており、次期会計年度はそれらの特別な需要を見据えた準備を進めていくという。

なお、今回の連結会計年度は、内田洋行グループ第16次中期経営計画(2022年7月期~2024年7月期)の最終年度となる。第14次中期経営計画から9年間にわたって進めてきた構造改革による各事業の競争力向上により、第16次中期経営計画の当初の目標を大きく上回る結果となったという。

「働き方変革、学び方変革を標榜し続けてきた同社グループのこれからの成長機会は、社会変化への対応を迫られる顧客を支援することにあると考え、第16次中期経営計画ではグループリソースを生かした経営への転換を速める諸施策をスタートさせました。今後はその成果を生かし、社会に貢献できる内田洋行グループとなれるよう、より一層継続した改革を進めていきます」(大久保氏)