回答者の80%が「値上げ」、値上げしても56%が「販売個数に影響ない」【Eストアーが「商品の値上げ」を調査】

ECサイト構築・開業から成功までを総合サポートするEストアーはこのほど、「Eストアーショップサーブ」のユーザーに「商品の値上げ」についてのアンケートを実施し、その結果を公開した。80%の事業者が2023年以降に商品の値上げを実施していることなどがわかった。

Eストアーの提供する「Eストアーショップサーブ」は、D2C専門、GMV1.5兆円、累計11万社のノウハウを凝縮したECシステム。「Eストアーショップサーブ」を利用するEC事業者を対象に「商品の値上げ」についてのアンケートを実施した。調査期間は年8月5日~16日で、646件の有効回答を得た。

2023年以降値上げした商品はあるかをたずねたところ、80%が「ある」と回答した。

値上げに至った理由をたずねた問い(複数回答)では、「仕入れ価格・原材料費の上昇」が98%、「人件費など、事業運営にかかる費用の上昇」が35%だったほか、「円安の影響」「メーカー希望小売価格の改定」「メーカーからの価格改定要請」「配送料の値上げ」「光熱費の高騰」「最低賃金の引き上げ」などがあがった。

値上げ幅(元の価格+何%程度か)をたずねた問いでは、「1~10%」が52.2%ともっとも多く、「11~20%」が39.1%で続いた。値上げを行った事業者のうち90%が元の価格から20%以下の値上げで、その内の半数以上が10%以下の値上げに留まっている。21%以上の値上げを実施した事業者は10%にも満たず、一定の値上げ幅に集中していることがわかった。

値上げを実施した事業者に、値上げした商品について、価格変更後の販売個数に影響があったかをたずねたところ、56%が値上げした商品の販売個数について「影響はない。(値上げ前と変わらない)」と回答した。

一方、42%の事業者が、値上げした商品の販売個数が値上げ前より減少したと回答したが、その内の46%の事業者が、「他の商品をおすすめすることで1人当たりの単価向上を図る」など、減少分を補う何らかの取り組みを実施していることがわかった。本質問で「その他」に寄せられた回答では、「ポイントの設定の変更」や「クーポンの発行」などにより販売減少を補う取り組みを実施するなど、さまざまに工夫していることがわかった。

2023年以降に値上げを実施していないと回答した事業者にその理由をたずねたところ、「値上げをすると売れなくなると思うから」が28%ともっとも多く、「値上げをする必要がないから」(21.7%)、「値上げをしたくないから(利益が多少減少しても)」(17.1%)と続いた。「値上げをすると、お客様から反発があると思うから」も12%の回答があり、値上げ後の消費者の反応を想像して値上げに踏み切れない様子もうかがえた。

2023年以降に商品の値上げを実施している事業者、値上げを実施していない事業者双方に、今後の値上げについて尋ねたところ、値上げを実施した事業者の85%が「今後も必要に応じて値上げする」と回答した。

一方、2023年以降に値上げを実施していない事業者は、38%が「今後商品の値上げを行う可能性は、大いにある」と回答した。また、「わからない」とした事業者も34.1%いた。すでに値上げを実施した事業者は、今後も必要に応じて値上げを行うことに積極的だが、値上げを行わなかった事業者においては、今後の値上げについても慎重な様子がうかがえる結果となった。

2023年以降に値上げを実施していない事業者に、今後値上げが必要となるのはどのような状況かをたずねた問いでは、67%が「仕入れ価格や原材料費の上昇」の影響が出た場合と回答。値上げ実施に踏み切るトリガーとなるのは、すでに値上げを実施している事業者と同様という結果となった。

これらの結果を受けEストアーは、今回のアンケートでは、ECと店舗を合わせた月商の規模、扱っている商品のジャンルによる回答の極端な偏りは見られなかったと分析した。

これまで長くデフレの時期があり、仕入れ価格や運営コストの上昇など、業環境は厳しくなってきていると思われるが、消費者の反発や販売個数への影響を考えると値上げに踏み切れない事業者が少なからず存在するということがわかった。一方で、実際に値上げを実施した商品について、半数以上の事業者においては値上げ前と変わらぬ販売個数を維持していた。

現在もさまざまな領域でコスト増が進んでおり、商品の価格見直しを検討せざるを得ない機会は増える可能性がある。必要な値上げを必要な時にスムーズに実施するために、値上げした商品の販売個数の減少や既存顧客の反応などについて事前に想定し、対応を検討しておくことが有効であるとの見解を示した。