【生活の木、企業間決済「Paid」導入の決め手は?】「与信審査や決済限度額に利便性」

生活の木は、ハーブやアロマの店舗「生活の木」を全国約100店展開するほか、ECサイト、アロマ・ハーブ関連のスクール事業も手掛けている。原料の仕入れから、岐阜県内にある自社内で製造加工を行い、直営店やECサイトで製販の一貫体制を敷いている。

取扱商品は、アロマのほか、アロマを使った化粧品、ハーブティーなど食品類など計約2500種類。

直営店やECサイトで一般消費者向けの販売を行うほか、法人向けに卸売りも行う。イオンやロフト、ハンズなど量販店への卸売りについては、約15人の営業社員が提案している。

▲生活の木が取り扱う商品

そのほか、生活の木の製品を販売する雑貨店や薬局などが「パートナーショップ」として全国100店舗に広がっている。マイナーなハーブやアロマも仕入れができ、小ロットによるOEM対応も可能だ。全体の売り上げ構成は、直営店が6割、法人向けが2割、EC2割となっている。

大手企業など大口顧客は対面による営業が主体だが、約6000件の取引先には仕入れ専用のBtoB-EC専用サイト「ビジネススマート」を2011年から運用している。ただ、BtoC向けと一体となっていたため、より利便性を高める形で2024年1月下旬にリニューアルして、それぞれ別サイトでの運用を始めた。従来に比べて新規会員は10倍に増えたという。

リニューアルをきっかけに、ほぼフルスクラッチだったサイト構築を「Shopify」に切り替えた。複数のカートを検討したが、アプリを入れるだけで即日機能などが追加できるほか、越境ECを検討していたことで親和性が高いと判断した。また、2023年6月には、新規取引先の獲得のため、ラクーンコマースが提供する仕入れサイト「スーパーデリバリー」にも出展を始めた。「地方都市など当社では接点を持つことができなかった店舗との接点を確保できた」(EC事業本部・中村佳央マネージャー)と話す。

▲公式サイト

<「Paid」導入で業務改善>

ラクーンフィナンシャルが提供する企業間決済「Paid(ペイド)」を導入したのは、2024年のECサイトのリニューアルの際だった。

もともと決済サービスを導入することは決めており、「Shopify」と連携しているBtoB決済を比較した。

他の決済サービスは注文の都度審査があるため、「注文保留」になってしまう懸念があった。また、1回の限度額が20万円ほどで、1回30~40万円購入する大口の場合、限度額が足りなくなってしまうことが想定された。「Paid」は与信審査が会員登録時のみで、さらに限度額も豊富なため、比較検討した結果、「Paid」に決めたという。

「自社物流を備えているため、注文から出荷までのスピードを高めたかった」(EC事業本部 久保庭侑アシスタントマネージャー)という狙いもあった。

また、「Paid」を導入する前は、支払いの遅延対応や消し込み、督促状の案内など取引先の債権管理を自社で行っていた。こうした業務で月末月初は時間を取られていたが、「Paidの導入で販売に集中することができた」(中村氏)と話す。導入前まで4人の社員で対応していた業務が2人で対応できるように省力化したという。

<客単価、リピート率が向上>

自社で与信管理をしていた導入前は、リスク軽減の観点から、決済の上限金額を8万円に設定していた。こうした条件がなくなったことで、40万円ほどの大口の注文や、15万円の注文を定期的に注文する顧客が増えたという。クレジットカ―ド決済から限度額が広い「Paid」への切り替えも進んでいる。「生産性が高まり、攻めの施策でLTVが上がり成果につながっている。社内でもBtoB事業の期待値が高まっている」(久保庭氏)と話す。

導入後のサポートについても「レスポンスも迅速で手厚く、不満は一切ない」(中村氏)。各種機能が常時アップデートしていることから、越境ECや対面営業にも「Paid」の活用を視野に入れているという。

【「Paid(ペイド)」サービス概要】 

2009年に日本初のBtoB専門決済サービス「SDペイメント」として提供を開始し、2011年に企業間決済「Paid」にリニューアルした。スーパーデリバリーの運営で蓄えたノウハウを活用し、BtoBならではの使い勝手の良さを追求してきたことで、「請求にかかっていた手間や時間が削減され、本来の業務に集中できる」「未回収リスクがなく、新規顧客とも積極的な取引ができる」と評価されている。累計契約社数は5000社を超えた。一般社団法人Fintech協会に加盟している。